平成30年度入学式

第11回(平成30年度) 長崎県立大学入学式 学長訓辞

 冬の寒さに耐えた大地が命の息吹を取り戻し、木々の枝から枝へわたる風にも新しい躍動感が感じられる今日の良き日に、入学式を執り行うことができますことは、私の大きな喜びとする所でございます。新入生の皆さん、入学おめでとうございます。心から歓迎致します。これまで学生諸君を育み支えて来られたご家族、保護者の方々のお慶びもさぞかし大きなものがあることと思います。心からお祝い申し上げます。

 本日は、長崎県知事 中村なかむら法道ほうどう様、長崎県議会議長 溝口みぞぐち様、佐世保市長 朝長ともなが則男のりお様をはじめ多くのご来賓の方々にご臨席頂きました。ご多用中にも関わらず、誠に有り難うございました。深く御礼申し上げます。

 新入生の皆さん、皆さんが生きていくこれからの時代は不透明な時代であると言われます。後世の歴史家に委ねるべき問題かもしれませんが、日本も世界も大きな時代のうねりの中にいるように思えます。世界的には、グローバル化の波が押し寄せて来たかに見えましたが、昨今逆の動きが目立ち始めました。アメリカの自国中心主義、EUのリーダー格の国々での政権の不安定化、ポピュリズムの台頭、中国での憲法改正と新たな体制の確立、朝鮮半島の予断を許さぬ状況等々挙げればきりがありません。国内では、政治的にも経済的にも閉塞感がぬぐえませんし、日本が誇ってきた製造業でも技術的遅れや信頼を傷つける案件が明るみに出ています。
 日本では今後人口が減少します。これは戦争中の特殊な時期を除けば、明治維新以後初めてのことです。これに対処する特効薬があるわけではありませんが、国内に閉じた活動で展望が開けるとは考えられません。資本、工場、製品、商品、サービス、人等々が外国へ出るにせよ、外国から受入れるにせよ、近隣諸国、特にASEANの国々とのお付き合いは、今後さらに重要になると考えられます。皆さんは社会の動きを敏感に捉え、自分なりの考えを持ち、新しい未来を創るくらいの気概を持つべきではないかと考えます。

 外国との交流という意味では、ここ長崎県は昔から重要な役割を果たしてきました。昔とは交通やコミュニケーションの体系が全く違う状況下で「だから長崎県は外国との交流云々」とは申し上げませんが、少なくともその歴史文化が残っている地で皆さんはこれから学ぶことになります。日本の顔としての東京、大阪あるいは名古屋、福岡にはそれに相応しい役割がある一方、多くの地方都市がそれぞれ特色を持ち、人々の生活の拠点となることも同様に重要です。長崎県の問題は、ある地域の特殊な問題であると考えるのではなく、数式で表現した場合には、係数を変えれば他地域にも応用可能だろうという考え方で、皆さんに真剣に考えて頂きたいと思います。

 新しい時代を生きる、未来を創るための学修は、これまでのターゲットが明白な受験勉強とはまるで違います。明快な答えは出てこないかもしれません。そういう時代を生きることは大変かもしれませんが、刺激的でわくわくするとも言えます。何れにせよ、これから大学で学ぶことは、非常に多いし、若い時でなければ学べない事も山ほどあります。

 まずは既にある基礎的・基本的知識やスキルを修得しなければなりません。スキルとは、ICT, Information and Communication Technologyの活用法やコミュニケーションの手段としての外国語です。近隣諸国の言語ももちろん大切ですが、世界共通の言語と言えるのは、好むと好まざるとにかかわらず英語です。国際経営学科、国際社会学科以外の皆さんも英語力の向上に心がけて下さい。
 次にそれらを活かすためには、考える力・的確な判断をする力・そして表現力が求められます。表現力とは、論理的に分かり易く自分の考えを伝え、その上で人を説得する力です。既存の価値観に囚われない新しい発想が未来を創る原動力になります。そして3つ目は、自ら求める主体性、学修への意欲が必要です。
 社会人として活躍するためには、もう1つ大切なことがあります。それは他の人と協力して働く力です。他人と一緒にチームを組んで力を発揮することが大切です。チームとして進むときには方向や方法を議論しなければならないので、単なる会話という意味以上のコミュニケーション力が求められます。卒業するときにはこれらの力を十分につけて社会へ羽ばたいて頂きたい。4年間は決して長い時間ではありません。

 これらの力を皆さんが獲得できるよう、教職員一同最大限のサポートは致しますが、受け身では決して完結し得ないので、自ら鍛える心構えをしっかり持って下さい。漠然とはしていても自ら描く4年後の自分に近づくべく、夢を実現すべく努力するのです。学修の過程で、自分の将来の姿が次第にはっきり見えて来る筈です。

 最後に昨年と同じ宿題を皆さんにも出そうと思います。英語でゆっくり話しますから、注意深く聴いて下さい。

As I said, English is very important for you, and I would like to close my speech in English. This proposal is the same as the one I made to our freshmen last year. However, it is exceptionally valuable for you, so I’ll repeat it again here.

There is an exciting online presentation video program called TED, which stands for Technology, Entertainment, and Design. Among a number of presentations, I recommend you listen to “Our Campaign.” You can find its website URL easily by two key words, TED and Our Campaign using your smartphone or PC. It is a story about two teenage sisters, who planned to ban plastic bags from Bali. You will realize that you can solve an unbelievably large problem by your idea, passion, and collaboration with colleagues, even if you are so young. Moreover, listening daily to TED presentations, (it doesn’t take a long time, ten to twenty minutes or so) will be very effective not only to improve your English skills but also to widen your horizons.

これをもって訓辞と致します。

平成30年4月4日

長崎県立大学 学長 太田 博道

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 英語は重要だと言ったので、最後は英語で締めくくります。この提案は昨年新入生にしたものと同じです。しかし、皆さんにとって非常に有用だと思うので繰り返します。
 TEDという大変面白いプレゼンテーションビデオがあります。TEDとはTechnology, Entertainment, Designの頭文字です。たくさんの題目があるのですが、Our Campaignという題のものを聴くことをお勧めします。TEDとOur Campaignという2つのキーワードでPCあるいはスマホを使って簡単に検索できます。これはティーンエイジャーの姉妹がバリ島からポリ袋を追い出す話です。どんなに年がいかなくても、アイディアと情熱とそして一緒に活動する仲間がいれば、とんでもなく大きな問題を解決することができることを実感できると思います。
 さらに、TEDのプレゼンテーションを日常的に聴くと、せいぜい10分か20分で長くはありません、皆さんの英語のスキルを向上することはもちろん、皆さんの視野が広がるでしょう。