平成28年度入学式

第9回(平成28年度) 長崎県立大学入学式 学長訓辞

平成28年度入学式 学長訓辞 学長の写真

 九十九島の海のさざ波と戯れる陽の光に温かさが感じられる今日の良き日に、入学式を執り行うことができますことは、私の大きな喜びとする所でございます。新入生の皆さん、入学おめでとうございます。心から歓迎致します。これまで学生諸君を育み支えて来られたご家族、保護者の方々のお慶びもさぞかし大きなものがあることと思います。心からお祝い申し上げます。

 本日は、長崎県知事 中村法道様、長崎県議会議長 田中愛国様 代理 長崎県議会副議長 中島廣義様、佐世保市長 朝長則男様をはじめ多くのご来賓の方々にご臨席頂きました。ご多用にも関わらず、誠に有り難うございました。深く御礼申し上げます。

 新入生の皆さんがこれから生きていく社会のキーワードの1つはグローバル化であることは間違いありません。特に長崎県はアジアに近いので、外国と接触する機会は他の地域より多くなると思います。ASEANやTPP加盟国との交流は経済活動以外にも盛んになることは間違いありません。日本は労働力不足の解消を近隣諸国に求めることになる可能性も有り得ます。文化・習慣・宗教等が違う人とのお付き合いは、これまで多くの日本人が経験してきたこととは違ったものになるし、皆さんの中にはそのようなお付き合いから、自らの人生を切り開いていく方も少なくないでしょう。

 戦争の世紀20世紀が過ぎ、21世紀は人類が平和を享受できる時代になるのではないかという期待は01年の9.11で残念ながらもろくも崩れさりました。最近、中近東で起こっている紛争は民族・宗教・宗派が絡み合うだけでなく、バビロンの幽囚やローマ帝国、オスマントルコ帝国等人類の歴史の時間軸で考えなければならない問題が含まれています。現在、日本はこのような地域にエネルギー源を大きく依存しているのですから、戦後70年他国との交戦せず、宗教にはおおらかな日本の強みを活かして、少しでも問題解決に貢献することが求められます。

 環境問題も次第に深刻さを増しているように思います。単に化石燃料消費で空気中の二酸化炭素が増加するというだけでなく、我々が日常的に使っているもの、即ち衣服・住居・インフラ整備に必要な諸々のものは必ずしもrenewableではありません。私達はせめて100年のオーダーでものを考え、「これで良いのか」と問い直すくらいのことはしなければなりません。

 皆さんは、ご自身の豊かな人生のためだけでなく、このように人類的課題を少しでも良い方向へ向けるために多くのことを学ぶ必要があります。大学は研究の場であると同時に、学生諸君にとっては4年後に社会人として役割を果たせるよう学修する場であります。また、大学には教員の専門性や学生の知力・エネルギーを活かして地域へ貢献することも求められます。このような地域貢献と皆さんが自分自身を鍛える学修が実は幸いにして両立する場合が少なからずあります。本学ではこのような学びを既に取り入れていますが、本年度からの学部学科改組に当たってキャンパス外での学びの機会を大幅に増やしました。

 1つ目は基礎的・基本的知識やスキルの修得です。スキルとは、IT機器の活用法やコミュニケーションの手段としての外国語です。知識やスキルがあっても引き出しにしまい込まれていては何もなりません。

 2つ目はそれらを活かした思考力・判断力・表現力です。表現力とは、筋道立てて分かり易く自分の考えを伝え、その上で人を説得する力と言い換えても良いでしょう。理解してもらうだけでは不十分で、その通りと納得してもらい、ともに行動を起こすことが必要です。学力の3要素の最後は学修意欲です。この力を常に高く保ち、貪欲に学んで下さい。どんなに学んでも十分ということは有り得ないし、学び過ぎることも有り得ません。もちろん「学ぶ」ということは、机に向かうとか本を読む以上のことですから、これまでの受験勉強とは質的に異なります。

 社会人として活躍するためには、もう1つ大切なことがあります。それは他の人と協力して働く力です。一人でやれることは限られているので、他人と一緒にチームを組んで力を発揮することが大切です。チームとして進むべき方向ややり方は常にチェックしなければならないので、単なる会話という意味ではないコミュニケーション力が求められます。

 皆さんには今後このような学修をやって頂くのですが、決して楽々とできることではありません。イヤ、懸命にやらないと十分な力は付きません。大学に入ったらゆっくりできると考えていた人は、今日から気持ちを入れ替えないといけません。受験勉強と違って具体的目標が見え難いことが多いので、自分自身で漠然としていても良いから夢や目標を持ち、自分なりの動機付けと努力が必要です。それ無しに4年間の課程を修了することは難しいと覚悟を決めて頂きたい。4年後のことは具体的にイメージできないという人も少なくないでしょうが、そのような場合は、昨日よりは今日、今日よりは明日、一歩前進した自分になろうという目標で十分です。

 最後に強い意志と工夫と粘り強い努力があるとトンデモナイことができてしまうという分かり易い例を紹介しますから、後日自分自身で確かめて頂きたい。それは、TEDというプレゼンテーションイベントで紹介されています。

「Our campaign to ban plastic bags in Bali」というタイトルですが、「Our Campaign」とTEDを組み合わせてインターネットで簡単に検索できますし、11分足らずのプレゼンテーションですから、1度と言わず是非繰り返し聴いてみて下さい。何か感ずる所がある筈です。

平成28年4月5日                       

長崎県立大学 学長 太田 博道