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研究シーズ集

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全社的リスク・マネジメント(ERM)の展開過程についての一考察 -内部統制・ERM・SR
研究キーワード
多国籍企業、内部統制、ERM、CSR
学部学科
経営学部 国際経営学科
研究者
黒岩 美翔 講師
研究目的
本研究は、多国籍企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility: 以下CSR)活動を促すコントロールの日仏米の比較研究を通して、持続可能性を考慮した全社的リスク・マネジメント(Enterprise Risk Management:以下ERM)フレームワークの適用可能性を検証することを目的としている。具体的には、CSR活動に積極的な多国籍企業の中で行われているコントロール活動の事例研究を行う。そしてその分析をもとに、持続可能性を考慮した場合にERMがどういった特徴を持つフレームワークになるのか、またそのフレームワークは様々な多国籍企業に適用可能かを検討する。
研究概要
これまでの研究では、Moquet, A. C. [2010], Le contrôle sociétal:Les cas Lafarge et Danone: de nouveaux modèles de management portés par le projet de développement durable, Vuibert , Paris.をもとに、経済のグローバル化により企業の多国籍化がすすんだことで、マネジメント・コントロールが伝統的なコントロールから社会的責任戦略コントロールへと発展してきたことを示してきた。
グローバリゼーションの下での企業経営は、マネジメント・コントロールの深刻なパラドックス的状況を認識させ、その緩和策を求めるようになってきている(大下丈平[2015]「環境、社会およびガバナンスに対して管理会計はどう向き合うか」『管理会計学』日本管理会計学会)。
この伝統的なマネジメント・コントロール論については、Bouquin H. et C. Kuszla[2013]で全編を通してこのパラドックス概念を基軸として構成されており(Bouquin H. et C. Kuszla [2013] LeContrôle de gestion,PUF, 10e édition.)、Moquet[2010]では社会的責任戦略コントロールを用いることでパラドックス状況に対応しようとしているのである。
一方で、新たなガバナンス体制やリスク管理体制、内部統制が必要とされていることから、価値創造とガバナンス・リスクマネジメント・内部統制システムを統合的に実現するERMがCSR戦略コントロールのフレームワークとして展開する可能性を考えた。
しかしながら、これまでの研究では、主に欧州企業のコントロールを取り上げていたため、今後は日本企業のCSRに関するコントロールについて、伝統的なコントロールからどのように発展してきたのかを研究するとともに、日本企業と欧州企業、また米国企業とのCSRやERMにおける比較研究を行うことでERMのさらな
る発展または浸透に貢献していきたい。
さらにブッカン教授が、ERMがCSR戦略コントロールの枠組みとしての役割を果たす可能性も示唆していたため、今後はERMの戦略コントロールの枠組みとしての可能性についても検討する必要があると考えている。
用途・研究効果・実用化のイメージ
フランスのグローバル企業における社会的責任戦略コントロールと、日本や米国のグローバル企業における社会的責任戦略コントロールの比較研究を行い、各国の国際比較の観点から整理することで、グローバル企業におけるCSR戦略コントロールおよびERMのあり方を検証することを目的としている。
よって、本研究は事例研究にとどまらず、他のグローバル企業に適用可能なフレームワークとなる可能性があると考えられる。
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