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学長メッセージ

地域の未来を拓く長崎県立大学

学長 木村 務
 私たちは今、先の見えない不確実で不安な時代のまっただ中にいます。
 30年前の冷戦の終焉以来、情報技術革新に先導されて、ヒト・モノ・カネが国境を越えて行き交うグローバリゼーションが起こり、世界の社会経済は大きく発展してきました。
 しかし一方では、情報技術革新はGAFAと呼ばれる巨大な企業を生み出して世界に富の格差問題を顕在化させ、それに対抗するように、4年前のアメリカ大統領選挙の前後から「自国第一主義」といわれる風潮が湧き起こり、米中貿易戦争やBrexitなど世界を分断するような動きが登場してきました。
 さらに2020年の幕開けとともに、中国の一地域を発端とした新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中に広がり、人々を不安と恐怖に陥れています。今や私たちは、世界の社会経済に深く浸透したグローバリゼーションが崩壊するような歴史的危機に直面しております。
 一方わが国の多くの地域では、人口減が止まらず社会存続さえ不確実になり、加えて気候変動による災害の頻発に悩まされていますが、さらに、海外とのつながりに再生の手がかりを得てきた地域は観光客の急減等の試練に遭遇しています。
 この先の見えない不確実で不安な時代の中にあって、私は長崎県に立地する長崎県立大学の果たすべき役割は極めて大きいと考えています。
 本学は、経営学部と地域創造学部を擁する佐世保校(佐世保市川下町)と、国際社会学部、情報システム学部、看護栄養学部を擁するシーボルト校(西彼杵郡長与町)の二つのキャンパスからなり、学生数は大学院を含め約3000名と全国の大学の中では決して大きな規模ではありませんが、地域に根差した県立の大学として人材育成を中心に地域に貢献して参りました。
 佐世保校は、昭和26(1951)年に長崎県立佐世保商科短期大学として開学し、昭和42(1967)年には長崎県立国際経済大学として大学に昇格しました。平成3(1991)年には経済学部流通学科の増設にともない長崎県立大学に改称し、平成15(2003)年には地域政策学科を加え1学部3学科に発展しました。
 シーボルト校は、118年前の明治35(1902)年に設立された長崎県立高等女学校をその源流とし、戦後の昭和22(1947)年には長崎県立女子専門学校となり、同25(1950)年に長崎県立女子短期大学として開学しました。その後昭和32(1957)年に長崎県立短期大学、同44(1969)年長崎県立女子短期大学への改称を経て、平成11(1999)年には、長崎県立女子短期大学と長崎県立長崎保健看護学校を継承し、看護栄養学部と国際情報学部の2学部を擁する県立長崎シーボルト大学が開学しました。
 同じ県立として二地域で発展してきた両大学は、平成20(2008)年に統合し、二つのキャンパスからなる総合大学として多様な人材を育成するとともに、大学の総合力を発揮して地域に貢献して参りました。そして平成28(2016)年には、経営学部・地域創造学部・国際社会学部・情報システム学部・看護栄養学部の5学部に改組し、実学的・実践的科目を多く取り入れた教育課程を構築しました。
 長崎県立大学は、新しい時代に挑戦し続ける人材の育成、県立の大学として地域社会を創造する担い手・リーダーの育成を大学の使命としています。
 それは、先の見えない不確実で不安な時代にあって、“Society5.0”と呼ばれる新しい時代が指し示す方向や諸課題に真正面から取り組み、海外を含む各地域の価値と文化を発見し、未来を見据えて持続可能な地域社会を担いリーダーとして活躍する人材の輩出を目指すものです。中央からは遠く離れながらも、古くから海外に開かれた長崎の地であればこそ可能な人材育成です。
 このように新しい時代に挑戦し地域社会を創造し担う人材が備えるべき力を、本学ではKEN-SUN力と呼んでいます(この名付け親は学生です)。それは、①長崎で地域を理解するとともに世界の中のNagasakiを知ることでグローバルに交流しながら地域・国際社会に貢献し、平和を創る力、②未来を生き抜く知識を修得し、それを知恵として活用する力、③他者を尊重するとともに、自己を主張し、協働・共生する力、④物事を多面的・俯瞰的にとらえる想像力と新しい知を創造する力、⑤未知の課題に挑戦しつつ、学びを継続する力、そして⑥自立した生活と自律的な学びをするという6つの力です。これを全学教育と専門教育における講義と学外・海外での実践的な実習活動を通じて修得しています。
 たとえば全学教育では、長崎県の地理的特徴である多くのしまをキャンパスとした「しまなび」という科目を設置し、学生自身が主体的に設定した課題解決のためにしまに出かけ、現地での調査や実習の実践を通じてKEN-SUN力を身につけていきます。
 専門課程においても、「海外ビジネス研修」ではシンガポール、タイ、ベトナム等の最先端の現場において語学力を駆使して就業体験し、「企業インターンシップ」では地域企業の中で経営や技術を学び、「経営実践」では実際に事業を起こし、「災害看護学実習」では地震発生を想定した災害時に求められる看護師の役割について実践活動を通じて学んでいます。そして、自分自身にどの程度の力がついたかを、各種検定試験などを活用して確認しています。
 この実践的教育を通じた大学と国内外の地域や企業との関わりは、学生のキャリアアップや教員の研究深化へと展開し、長崎県立大学は人材育成を核として、地域を創造し持続可能な地域づくりに貢献し、地域の未来を拓く拠点となっています。

学長プロフィール

氏名
木村 務(きむら つとむ)
生まれ
昭和24年10月
出身
佐賀県神埼市
学歴
昭和53年
九州大学大学院農学研究科博士課程満期退学
学位
平成7年
博士(農学)九州大学
職歴
昭和53年
西九州大学家政学部講師(~昭和59年)
昭和59年
西九州大学家政学部助教授(~平成7年)
平成7年
西九州大学家政学部教授(~平成13年)
平成13年
長崎県立大学経済学部教授(~平成27年)
平成15年
長崎県立大学経済学部経済学科長(~平成17年)
平成17年
長崎県立大学副学長(~平成25年)
兼長崎県立大学経済学部長(~平成23年)
平成18年
長崎県立大学学長代行(~同年12月)
平成25年
株式会社佐賀銀行取締役(非常勤)(~平成31年)
平成27年
長崎県立大学 退職
長崎県立大学名誉教授
平成31年
長崎県立大学長(現在に至る)
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