令和5年度卒業証書・学位記授与式 学長訓辞
2024-03-19
カテゴリ:お知らせ
学 長 訓 辞
令和5年度の長崎県立大学卒業証書・学位記授与式に当たり、学部を卒業される皆さん、大学院を修了される皆さんに、心よりお祝いを申し上げます。本当におめでとうございます。これまでの御努力に深く敬意を表します。
御家族の皆様、学生たちをお支えいただき、ありがとうございました。喜びは分かち合うことで倍になり、悲しみは分かち合うことで半分になるといいます。ぜひ一緒にお祝いしてあげてください。
今日は、皆さんのために、大変お忙しい中、御来賓として、長崎県知事 大石賢吾様、長崎県議会議長 徳永達也様をはじめ、大勢の皆様が御臨席くださっています。心より感謝申し上げます。皆の思い出に残ると思います。
また、長崎県公立大学法人理事長として皆さんを応援し続けてくださっている稲永忍様、いつもありがとうございます。
皆さんは、入学された時のことを覚えておられるでしょうか。その頃と今とでは、全く違う自分になっているとお気づきだと思います。
学部卒業生の多くが入学された4年前、世界は新型コロナウィルスの脅威に覆われていました。世界保健機関の事務局長が「パンデミック」を宣言したのが2020年の3月11日。日本では3月2日から全国の小・中・高等学校などが一斉臨時休業となり、様々な行事やイベントなども軒並み中止になりました。東京オリンピック・パラリンピックの史上初めての延期が決まったのは3月24日です。
その年は、一堂に会しての入学式はできませんでした。代わりに、新入生オリエンテーションで、学科長から入学許可の宣言をしていただいたと聞いています。
今年の1月に、何人かの4年生と懇談させていただきました。その際に皆さんからうかがったのは、入学から2年の中頃まで、オンライン授業が多く、人と直接会う機会が少なかったり、「しまなび」や海外研修などの現地に出かけての活動ができなかったりで、思っていた大学生活と違ったという話や、けれども自分から動いて、やりたかったことを叶えることができ、充実した大学生活だったという感想などでした。
もちろん、感じ方は人それぞれです。残念なこともあったと思います。でも、皆さんは、人生のとても大切な時期に、貴重な時間を、多くの仲間や先生方と一緒に、長崎県立大学で過ごされました。そのかけがえのない経験と実りを、これからの人生に活かしていただけることを願っています。
私は、キャンパスで皆さんと会うのが楽しみでした。いろんな機会に企業などの方から皆さんへのお褒めの言葉をいただき、とても誇らしかったです。
長崎は、古き良きものとともに、いろいろな国の文化や新しいものが集まり、それぞれが輝きを保ちながら共存している県です。本学は、その長崎の資源や環境を活かした教育研究活動をはじめ、理論と実践を融合した高度な教育研究や、深い洞察力と実践力を備えた感性豊かな人の育成を重視しています。また、卒業要件なども設定しています。
それらを通ってきた皆さんには、力があります。自信を持って、いろんなことに挑戦してください。失敗しても、やり直せます。皆さんの御活躍を楽しみにしています。
新しいステージに進もうとする皆さんに、気の利いたアドバイスができるといいのですが、私自身、うまくいったという経験があまりありません。自分なりには頑張っているつもりだけど、本当にやりたいこと、なりたい自分に一向に近づけない。むしろ遠ざかっている気さえする。そんなことばかりです。
だから、こうすればいいというアドバイスは難しいです。代わりに、役に立たないかもしれませんが、自分に言い聞かせていることを短く3つ紹介します。
一つめは、「続ける」こと。
私は不器用なので、一足飛びには行けません。だからこそ、「続ける」ことを大事にしています。続けるのは、簡単そうに見えて、実はとても難しい。何かを始めようと決意する人は大勢いますが、続けられる人は稀です。
継続は力です。学習でも習い事でもトレーニングでも何でも、隙間時間でもいいので、毎日続ければ、100日後、1年後、数年後、必ず大きな成果が出ます。
二つめは「前を向く」。
思い通りにならないこともあるでしょう。そのときに、いつまでも引きずらないで、気持ちを切り替えることです。
過去は変えられない。でも、未来は変えられる。
皆さんには、過去よりも未来にエネルギーを使って欲しいです。きっと、その方が楽しい時間が増えます。
三つめは、「自分で決める」。
人の世で生きるには、他人の意見や価値観をお互いに尊重し合うべきです。
でも、人の評価や人の言うことばかり気にして右往左往するのでは、自分の人生を生きていることになりません。
社会的な成功は人の評価かもしれませんが、幸せかどうかは自分で決められます。
あなたの人生です。自分らしく生きましょう。
以上、「続ける」、「前を向く」、「自分で決める」、この3つをお話ししました。
皆さんは、どんな未来を生きるでしょうか。
世界中で様々な用途に使われているQRコードが、日本のある企業(デンソー)によって開発されたのは1994年、今から30年前です。誰もが当たり前のように使っているスマートフォンですが、日本で初めてiPhoneが発売されたのは2008年、僅か16年前です。ヒトiPS細胞の開発は2007年。SDGsが国連総会で採択されたのは2015年。働き方改革推進法ができたのは2018年でした。
20年後、30年後。皆さんを待っているのは、きっと、今はまだ想像できないような世界でしょう。これからの時代に必要なのは、変化に対応できる、しなやかな知性と心です。さらに言えば、皆さんがその変化を起こしたり、引っ張ったりして欲しい。
「無駄なことは何もない、無駄にする人はいる。」
「他人と比べても仕方ない。自分の能力と自分がやっていることを比較しないといけない。」
永六輔さんの言葉です。
私は、皆さんがそれぞれの道で、自分らしく生きていかれることを願っています。そして、長崎県立大学で過ごされた時間が皆さんの助けになると信じています。母校のことも、どうか忘れないでくださいね。
あらためて、本日は誠におめでとうございます。皆さんの幸せを祈っています。
令和6年3月19日
長崎県立大学学長
浅 田 和 伸