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特別取材 看護学科にシミュレーションルームが導入されます
2023-02-17
カテゴリ:お知らせ
 本学看護学科では実践的学びを標榜し、患者様、そしていのちと向き合う現場が求める医療人材の育成に努めています。この度、アフターコロナ・ウィズコロナ時代の新たな医療に対応できる人材育成のため、最先端のシミュレーションルームを導入しました。
 この施設の特徴や、それによって実現できる新たな学び、そして同施設を通じた教育の今後の展望などについて、看護学科大重 育美教授にお話を伺いました!!

この度、看護学科に未来を見据えた学びを実現するための新しい施設が完成したとお伺いしました。施設の概要を簡単にお教えください。
 今回、本学の演習室に定点撮影カメラ、マイク、zoomを始めとしたオンラインミーティングが可能なPC含めた設備、そして、設定一つで部屋を様々なシチュエーションに変化させることが出来る単焦点プロジェクター及びスクリーンを導入しました。

 定点撮影カメラは看護の実習の模様を撮影し、手先や目線、コミュニケーションの取り方等を、のちの振り返りの際に利用するためのものです。また、特別な機材の設定なく、学内外とオンラインのカンファレンスやミーティングが自在に行える、まさにコロナ禍を経た今に求められる施設を導入しました!
オンライン取材に応じてくださった大重先生
この施設が従来までの施設と違うところ、長所、先生から見て「ここがすごい!」を教えてください。
 「シミュレーション」と銘打っている最大の理由にあるんです、見どころが!看護学科では、様々な看護の場面を想定した実習があるのですが、個人のご自宅やグループホームでの看護を想定した実習では、部屋に設置された単焦点プロジェクターによりリアルな看護現場に変化します。これが、想像以上に臨場感ある実習現場になるんですよ!本学では、災害看護学実習という科目がありますが、リアルな災害現場を体験することが難しいですね。今後はバーチャルな映像を活用して学生が学ぶ機会ができるのではないかと期待しています。いわば、AR(拡張現実)と実習を融合させた、学びの現場です。

 いのちの現場につながる学びを提供する本学看護学科の学びの中で、実習の意義はとても大きいのですが、実習の中ではたくさんの失敗を積み重ねることが、とても大切なのです。そうした意味では、シミュレーションルームは「安心して失敗できるリアルな環境」を、本学で学ぶ皆さんに提供できる場所と考えています!

この度のシミュレーションルームですが、導入に至る経緯等を教えてください。
 2020年当初から、コロナ禍による影響は大学の学びにも大きな影響をもたらしました。特に、病院や介護施設での実習が大きな意義をもつ看護学科への影響は大変大きなものでした。実際の医療・介護現場での実習の機会が減ってしまうことは、社会に出た学生の皆さんがいきなり医療・介護の現場で「いのち」に直面した際に、今までの学びと現実とのギャップ、いわばリアリティショックに直面してしまうのでないか。私たち教員はこれが大きな問題だと感じていました。

 私たちは日々の実習の中で、医療・介護の現場において求められる技術を全力で皆さんにお教えします。しかし、感染症拡大という世界的な危機の中で、このリアリティショックをどう解決していくか・・・。そんな苦悩の中、令和3年12月に、文部科学省から「ウィズコロナ時代の新たな医療に対応できる人材養成事業」の公募が開始されました。この学びと現場とのギャップを解決するため、私たちは有志による検討チームを結成、のちに私がプロジェクトリーダーとなり、プロジェクトチームとして検討を進めますが、本学で学ぶみなさんの実習の質を少しでも高め、コロナ禍に負けないような実習環境を作り上げるべく、教員だけでなく、事務局のスタッフの方々の協力も頂きながら、今回のシミュレーションルームの企画を日々検討し、練り上げて事業に申請。
 結果として、この事業の交付を受けることができたのです!
周囲の映像が臨場感を高め、実体験に近い実習が可能に
実習中の模様は録画され、のちの振り返りの素材に
画像の制御装置。様々な場面に切り替えることができる
実習の効果をさらに高める新しい施設
本学で学ぶ学生の方々の実習の質をさらに高める今回の導入となったわけですね。さて、プロジェクトリーダーとして取り組まれた検討の中でこういう点を工夫したというところ、ここはこだわった!という点を教えてください。
 まず、本学ではコロナ禍前からの様々な実習の振り返りの情報を蓄積しており、実習の中で学生さんたちが、「技術の修得」だけでなく、実際の患者様や同僚との「コミュニケーション力」にも不安を感じていることを、私たちは把握していました。
 そこで、この解決のために実際に近い「空間」を、柔軟に提供することで、実際の現場に近い実習現場でコミュニケーション力を持たせることができるのではないかと考えたのです。ただ、最初から「空間」の発想があったわけでないんですよ(笑)先生方や今回の設備を一緒に考えてくださる業者の方々、事務局の職員の皆さまとのお話のなかで、例えば「ベッドは固定しない」「空間の自由度を持たせ、むしろ演習室の構造自体を活かす」といった発想は、打合せのなかで自然と生まれてきたものですから。
 私自身、今回のプロジェクトでは多くのことを学ばせていただいた、という想いですね・・・。

逆に、検討の中でここは苦労した、という点を教えてください。
 苦労した、というわけではなく、むしろ更にこだわった、というべきなのですが(笑)、今回のプロジェクトチームは「領域横断的チーム」というのが最大の特徴です。看護学においては、精神看護学、在宅看護学、老年看護学、母性看護学、基礎看護学、小児看護学、成人看護学、それぞれの領域があります。通常、人体人形等を始めとするシミュレータを利用する領域は小児看護、成人看護の領域がメインであり、それ以外ではあまりシミュレータを利用することは少ないんですよ。
 しかし、今回のシミュレーションルームは領域は関係なし!!すべての領域の先生にプロジェクトチームに入っていただき、検討を重ねました。
 また、シミュレーション教育について、学科内で先生方の学習会も重ねてきました。これにより、従前までシミュレーション教育に関与が少なかった領域の先生方も、この分野での知識を修得するよう、学科全体での取組を進めてきました!まさにワンチームですね。

今回このような先進施設が導入されるわけですが、これによりどのような新たな学びが提供されるのでしょうか。また、この施設で提供される本学の看護学科での学びの新たな魅力、そして展望を教えてください!
 本学の看護実習のリアリティが高まること、これは間違いないです!そして、領域横断的なチームの取り組みであったことにより、今後、シミュレータ教育が様々な領域でも実施できるようになる可能性が高まりました。今回のシミュレーションルームにより、本学の看護学科の学びの質、そして独創性が更に高まってくれることを願っています!!
ウィズコロナの中、本学看護学科を志す方々に、是非メッセージをお願いします!
 私自身の私見ではあるのですが、コロナ禍を経た今と、その前でも、看護の本質「患者様に向き合う」ということは全く変わっていないのです。ただ、感染症は目の前の脅威として確かにある。従来まで気にしなくてよいことも、たくさん気遣いが必要になった。そうした変化は確かに影響しているのです。

 そうした中で、感染症なんかに学びが左右されてはいけない。どんな社会情勢においても、確かな技術を身に着け、自信をもって社会に出てほしい。シミュレーションルームは、現場をリアルに再現し、実習の質を高め、いわば学びの「レジリエンス(強靭さ)」を高めています。コロナ禍でも、将来の不安なく学んでいただける、また、実習で安心して「失敗」を重ねていただける環境を整備できたと考えています!!本学看護学科で、どうか安心して、未来に生きるたくさんの「失敗」をしながら、自信をもって学んでください!


 
 コロナ禍での学びのレジリエンス。教育現場だけでなく社会全体が直面した課題に、独自のアプローチで解決法を探る看護学科の取組、社会情勢に左右されない魅力ある学び、ここに看護学科の新たな魅力が生まれつつあるのではないかと感じました。
 今後も、魅力あふれる本学の学びをHPを通じお伝えしていきます!!
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