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学生広報スタッフ

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学生広報スタッフ『教員取材シリーズ』企画 第5弾 吉本 諭 准教授
2021-11-12
 皆さんこんにちは!学生広報スタッフです。第5弾となる『教員取材シリーズ』ですが、今回は公共政策学科の吉本諭准教授を取材させていただきました。
 先日、食農資源経済学会「学術賞」を受賞された先生の魅力、そして先生が農業経済学・地域経済学を専門分野とされるまでに至った経緯などを紐解いていきます!
左から 吉本准教授 学生広報スタッフの井手、田中
1.先生が専門分野とされている研究内容を教えてください。
 私は、農業経済学・地域経済学が専門分野です。具体的には、食料・農業・農村および地域の経済分析に関する研究を行っています。
 食料・農業・農村の重要性については定性的には言われることですが、どの程度重要なのか、どの程度地域に貢献しているのかはわからない場合があります。その疑問に対して経済分析を通して定量的に指標を提示する、そしてこれからの食料・農業・農村および地域を考える研究を続けています。
 2021年3月に、博士学位論文などをもとにまとめた著書『フードシステムの産業連関分析ー北海道の食産業を考えるー』農林統計出版(単著)を出版しました。この著書の業績により、2021年8月に、食農資源経済学会「学術賞」を受賞しました。学生としてまた社会人として合わせて20年間、北海道に住んでいましたが、自身の研究を通して、わずかでも貢献できればとの思いを込めて執筆した著書です。


2021年3月に出版した著書(単著)。食農資源経済学会「学術賞」受賞。
毎年度発行してきている吉本ゼミナール『卒業論文集』。2020年度(令和2年度)の卒業論文集で第6集となり、卒業論文を執筆したゼミ生は累計で83名となった。
吉本諭准教授の著書が食農資源経済学会「学術賞」を受賞したニュースはこちら

2.先生の教育に対する考えについて教えてください。
 教育については、授業・ゼミを基本として、卒業論文を大切にしています。
 私のゼミは、卒業論文の作成過程と就職活動について先輩から後輩に伝えていくために、また卒業後も大学でのつながりを大切にしていってもらいたいとの思いから、3年生と4年生の合同で行っています。
 卒業論文は、ゼミ生各自の問題意識に基づき、各自が現地の方に調査を行い、大学での学びを基本として考えを深め執筆しています。その社会の現実を感じ・見つめ・考えた経験が、実務経験を踏まえると、就職活動や大学を卒業し社会に出た時に役立つと考えています。
 毎年度、ゼミ生の卒業論文を一冊にまとめた吉本ゼミナール『卒業論文集』を発行しており、卒業論文集は、卒業論文を執筆したゼミ生一人一人に贈るとともに、長崎県立大学佐世保校附属図書館に配架しています。2020年度(令和2年度)の卒業論文集で第6集となり、卒業論文を執筆したゼミ生は累計で83名となりました。「学生の10年後・20年後につながる教育を」と思っています。 
 なお、私の長崎県立大学における学生教育の実践内容については、吉本諭著「統計データをきっかけとして地域を考える学びー長崎県立大学における学生教育の実践事例ー」長崎県立大学シリーズ・大学と地域2『“知”と“地”の新たな創造ー地域創造学部ー』長崎文献社、2019年3月発行(pp.60‐84)に書いています。本は本学の図書館等にありますので、興味がある方は読んでみてください。

3.学生時代の学びで何か思い出はありますか。
 私は長崎県の出身です。長崎県内の高校を卒業した後、大学は、日本の中でも大規模な農業が展開されている北海道・十勝地域にある農業(畜産)系の大学に進学しました。
 大学の教育課程の中に酪農実習という単位科目があり、学生それぞれが酪農家に泊まり込みで実習をするというものでした。私は、北海道の中でも酪農が盛んな十勝地域と根室地域の酪農家で合わせて2週間、泊まり込みで実習をさせてもらいました。酪農家の方と寝食を共にする中で、毎日の乳牛に関わる農作業から生活まで様々なことを学び、本当に良い実習をさせてもらったと思っています。このような経験が専門分野を考える際の一つの土台となっています。余談ですが、根室地域の実習先の酪農家で農作業をしていた際、農場に飛んできていたタンチョウヅルを近くで見た時は、長崎からずいぶん遠くまできたんだなあと思ったものでした(笑)。
 また、鳥取での大学院時代には、ベトナム・メコン川流域の米作農家の調査に参加させてもらい、聞き取り調査のため農家一軒一軒を訪問したことも良い経験となりました。

4.専門分野を志したきっかけは何ですか。
 農業経営(畜産経営)の学科を選び大学に入学したのですが、大学2年生の時に、ある科目で経済学を学ぶ機会があり、その科目を担当されていた先生の魅力もあって興味を持ち、自然と経済学を勉強することが面白くなりました。当時のノートは今でも持っています。その後、3年生から所属するゼミも、その先生が所属されていたゼミを選びました。ゼミは主として、ミクロ経済学、マクロ経済学のテキストを読んできて、発表者は事前に資料を作り、その内容を説明するというものでした。必修科目であった卒業論文にも一生懸命に取り組みました。
 当時のゼミには、教授、助教授(現在の准教授)、助手の3名の先生がいらっしゃいました。ゼミは3年生と4年生の合同で行われ、ゼミで発表する週になると準備に余念が無く、ゼミ当日は緊張して発表していたことを覚えています。ゼミ4年生の卒業論文の作成を3年生が手伝うという伝統もあり、大学を卒業して30年近くになりますが、今でも当時のゼミの先輩とは年賀状のやり取りなどの交流があります。
 学部時代の学びを通して生まれた学問への興味がきっかけとなり、大学院に進学し、さらに民間の研究所での勤務をとおして、調査研究・経済分析をはじめとする実務経験を積みながら、農業経済学、地域経済学を専門とするようになりました。民間の研究所での実務経験はとても有意義なものとなっており、大学において就職などを含め学生の将来を見据えた教育をする上での土台となっています。
取材に応じる 公共政策学科 吉本准教授
公共政策学科 吉本諭准教授(2021年10月27日取材・撮影)
5.先生自身が考える長崎県立大学で学ぶ良さは何だと思われますか。
 学生と教員の距離が近いことだと思います。私が所属する公共政策学科をはじめ、各学科には教育に熱心で学生思いの先生方が多いと感じています。また、官公庁や民間企業等での豊富な実務経験をお持ちの先生方もいらっしゃるので、学生が求めていけば様々なアドバイスをもらえるところも良さだと思います。

6.本学の学生の特徴をどのように見ておられますか。
 今年度(2021年度)で本学に来て9年目となりますが、この間、学生を受け持ち感じていることは、「伸びる学生が多い」ということです。ゼミ生でいえば、毎年度、卒業論文の充実とともに、成長していくところを教員として見てきました。また、就職活動も最後の最後まで頑張り、自分の希望する就職先に就職した学生も多く見てきました。さらに、就職活動の面接において、自分の卒業論文の取り組みを評価してもらったという声をいくつも聴いてきました。
 私のゼミ卒業生は、就職後、よく研究室に近況を知らせに来てくれます。先日も国家公務員に合格・就職し、同じ職場で働いているゼミの先輩と後輩の2人で研究室に挨拶に来てくれました。本学を卒業し、社会で頑張っている卒業生の姿を見ることが、教員をやっていて良かったと思う瞬間です。卒業生が来室した際には、近況に加え、学生時代に頑張った卒業論文のことも時折話題になります。中には、卒業論文で取り組んだ内容が就職後の仕事にも関連しているという卒業生もおり、大学での学びと就職後の仕事とのつながりを感じることもあります。

7.学生への一言メッセージをお願いします。
 「大学時代は、人生の進路を決める大切な時である」ということです。大学時代の4年間(1,461日)はあっという間に過ぎます。勉強であれ、サークルであれ、大学生活を通して何かを学び取って欲しい。どのように過ごすかは自分次第であると思います。主体的な考え・行動ができる人に成長し、しっかりと自分で考えて進路(就職先等)を選択し、目標に向かって努力して欲しい。長崎県立大学生の一人一人が、10年後・20年後、社会で活躍する姿を楽しみにしています。

 大学生活をどのように過ごすのか、そしてこれからの人生をどのように考え・決めていくのか、それらを考える要素を自分自身で探し・行動することが大切であることを、今回の吉本先生への取材を通して教えていただきました。
 今一度、自分がどのようになりたいのかを見つめ直す良い機会となりました。
 吉本先生、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

吉本諭准教授の教員紹介ページはこちら

取材:地域創造学部公共政策学科3年 井手敦子
議事録・記事作成:地域創造学部実践経済学科2年 田中くるみ
撮影:地域創造学部公共政策学科1年 井手祥子

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