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研究ピックアップ 
石田 聖
地域創造学部 公共政策学科 講師 石田 聖
地域の活性化に向けさまざまな主体が協働できる場づくり、それらを支えるための仕組み、人材育成について研究と実践をおこなっています。

地域創造学部 公共政策学科 講師
石田 聖 (イシダ サトシ)

#合意形成 #市民参加 #協働型ガバナンス
Q.01
研究テーマとその内容、具体的な取り組みについて教えてください。

A.
専門は公共政策学。主な研究領域は、協働型ガバナンス、市民参画(市民参加)、合意形成になります。地域の活性化、持続可能なまちづくりを実現するためには、自治体ばかりではなく、企業やNPO・ボランティアなど多くの人々がかかわってきます。こうしたセクター横断的な関係者が連携・協力して課題解決に取り組む協働の場の形成が重要になっています。そうした参加や協働の仕組み(ガバナンス)のあり方、参加・協働の場を支援する制度や主体、人材育成のあり方に関心を持っています。
Q.02
この研究をはじめようと思ったきっかけについて教えてください。

A.
近年、少子高齢化に伴う地域社会の連帯意識の希薄化、地域コミュニティへの参加意識の低下や参加層の固定化が課題となっています。そうした中、今後、地域社会の衰退をいかに抑制し、活性化していくかは課題といえます。私が留学経験のある米国西海岸では、土地利用や地域資源の保全、観光施策等にかかわる地域の課題解決に向けて、政策によって影響を被る(与える)可能性がある関係者が一堂に会して、熟議や交渉を行う協働の場づくりをNPOや大学などが中間支援の主体(組織)としてサポートする事例を数多く見てきました。日本でも多様な関係者が対等な立場で話し合い、課題解決へつなげていく協働の場を構築できないかと思い、国内外における参加・協働型の政策形成の理論や実践への応用に向けた研究を進めています。
Q.03
研究内容が身近な社会とどのように関わり、影響を及ぼすのか教えてください。

A.
協働では、異なるバックグラウンドを持つ人々が共通の目標に向かって、取り組んでいくことになり、政府・企業・市民社会(NPO等含む)というアクターは、それぞれ考え方や役割も異なります。他方、情報化やグローバル化が進展する中で、地域課題も複雑化、多元化しています。多様な価値観の中で、共通の目標を持つことは容易ではありませんが、共通の目標を持つためには、多様な人々が集まって意見を形成する協働の場をデザインしていくことが必要です。人口減少の進む地域社会においても、行政に依存するだけではなく、地元企業、自治会、NPOや地域の学校など様々なアクター間での協働が求められます。こうした中で、より地域のニーズや文脈に適した、参加・協働の場を構築することが重要です。また、こうした分野・職域を超えたセクター横断的な協働をサポートできる人材の育成が不可欠で、大学もその中でポジティブな役割を果たすべきであると考えています。
Q.04
今後、研究をどのように進めていこうと考えていますか。

A.
自分自身は、現場で活動する実践者(practitioner)と研究者(academia)をミックスさせた ""pracademia""でありたいと考えています。社会課題の解決に貢献できるガバナンス(仕組み)を構築する中で、大学は政府・企業・市民社会のアクター間の協働を学術的視点に基づいてサポートすることができる主体であり、協働のプロセスを促進するための知識やスキルを備えた人材育成の基盤になりうると考えています。国内外の様々な知見から学びつつ、できる限り自身も地域の現場で実践しながら、それぞれのアクターの能力を引き出し、多様なアクター間の関係構築や地域でのイノベーションを促す協働の場のあり方、大学での人材育成について研究を続けていきたいと考えています。
Q.05
ゼミや講義で学生を指導をする上で、いつも心がけていることや大切にしていることはありますか。

A.
講義やゼミでは「0から1」を考える学びを重視しています。とくにゼミでは、グローカルな視点に立ち、他大学や行政・企業・NPO関係者と連携した活動も主催しています。ゼミを通じて、現場への調査や現場の最前線で活躍する人々の話を聞く機会をたくさん設けるよう努めています。現代ではインターネットやSNSの普及により、学生の中にはその中の言葉が正しいと思い込んでいるケースがあります。でも現実は、そうじゃない。学生たちには、大学の外に出て、政策が実際に適用される現場に足を運んで学んでもらい、言葉(理論)と現実のズレに敏感であり続けてほしいと思っています。地域が抱える課題を一緒に考え、一歩でも足を踏み出す主体性・行動力を身につけていくことを期待しています。
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