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研究ピックアップ 
植村 百江
看護栄養学部 栄養健康学科 講師 石見 百江
幼児の食育や地域住民への健康寿命延伸アプローチとその影響について研究をおこなっています。

看護栄養学部 栄養健康学科 講師
植村 百江 (ウエムラ モモエ)

#栄養教育 #栄養生理学
Q.01
研究テーマとその内容、具体的な取り組みについて教えてください。

A.
主に取組んでいるテーマは①幼児の食生活や運動能力に関する研究と②地域住民の健康寿命延伸に向けたアプローチと食行動変容についてです。幼児の食育は食生活習慣、幼児を取り巻く生活環境について保護者、保育士や幼稚園教諭などの養育者へのアンケートやインタビュー調査、幼児の体力・咀嚼能力測定をしています。地域住民に対する研究では健康寿命延伸に向けたプログラムの実施が食行動変容にどのような影響を与えるかを調べるために数か月から数年かけて現地に出向いて、他分野の先生方と共に食生活調査・体力測定を実施しています。
Q.02
この研究をはじめようと思ったきっかけについて教えてください。

A.
大学卒業後、エネルギー代謝に興味を持ち、実験や研究を通じて、脂肪の代謝や糖代謝、肝臓代謝の神経制御、疾病について深く学びました。そのような中、管理栄養士として糖尿病の患者さんに対して食事調査や体力測定を実施する共同研究に携わる機会がありました。最初は慣れないこともあり、自信がなく、他人に食事や食生活のことを話すのは嫌だろう…。と構えていましたが、患者さんから多くのことを学び、実際に先入観を持つべきでないと考えるようになりました。対象者さんの多くが自分なりにできるチャレンジをしたいと考えていることも知りました。また、ひとの食や健康に対する思いはみな異なります。客観的な栄養情報を知ると同時に、その人の環境や主観的な考えに配慮をしたうえで栄養指導や研究をするべきと考えるようになりました。実際に人と接する栄養調査の経験が現在の研究に繋がっていると感じています。
Q.03
研究内容が身近な社会とどのように関わり、影響を及ぼすのか教えてください。

A.
現在の研究が少しでも地域住民や子どもたちの生活に役立つ健康支援につながる様に情報提供・成果を示したいと考えています。また、本学は地域との関わりが深いのが特徴です。少しでも学生が県内地域の人の健康あるいは食文化を直接知る機会を持って欲しいと考えています。そのため、可能な限り調査地や調査施設などの現地に向かい、研究に関わる場を作るようにサポートしています。それは、地域の方のご協力があって成り立つもので、多くの皆様に助けられています。最初は慣れないため緊張しますが、実際に学生自身が現場に行くと、人や情報を大切に扱う気持ちが自然にうまれるようです。この経験を忘れず、新しい社会で活躍して欲しいと願っています。
Q.04
今後、研究をどのように進めていこうと考えていますか。

A.
これからは栄養教育の遠隔化が加速し、時代や生活環境と共に教育方法が変化していきます。例えば、人々の健康を高めるためには、社会や地域コミュニティにおける人々の相互関係や結びつきを支える仕組みの重要性を説くソーシャルキャピタルの醸成が重要です。これまでは人々との関係をより深く保つための活動や研究を推進していましたが、人と人の距離を離して生活をしなければいけない環境下になりました。そうすると、人々の生活や健康行動はこれまでと大きく変化している可能性があります。様々な状況や環境がひとの健康や食行動変容に与える影響や因子を明らかにしていきたいと考えています。これまでの研究をふまえつつ、様々な分野の先生方とも連携して今後の研究をすすめたいと考えています。
Q.05
ゼミや講義で学生を指導をする上で、いつも心がけていることや大切にしていることはありますか。

A.
管理栄養士を養成する学科なので、専門となる知識や技術の修得は基本となる大切なスキルですが、対象者はあくまでも「ひと」。「ひと」に寄り添い、対話を大切にして学びを深めて欲しいと考えています。それぞれの「ひと」の背景、状況、環境、思考は異なります。習慣的な食行動変容を提案する場面で対象者の考えや生活を配慮することを忘れてはいけません。また、栄養教育を受けることに否定的な考えの人もいらっしゃいます。焦らず、難しい経験を重ねながらも対象者さんとコミュニケーションを取り、自分なりにしっかりと考えあるいは理解して、議論ができる力をつけて欲しいと願っています。
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