本文へ移動
栄養科学コース修士1年生と栄養健康学科4年生の研究成果が国際学術雑誌に掲載!
2024-12-02
カテゴリ:お知らせ
(大学院 地域創生研究科 栄養科学コースからの投稿)
 
本学 大学院 地域創生研究科 栄養科学コース修士1年生・吉田南海香さんと栄養健康学科4年生・田中彩香さん(指導教員:栄養健康学科 田中進教授)の共同研究をまとめた論文が査読付き国際学術雑誌に掲載されました。 
 
論文タイトル:Resistance of Human Endometrium to Ferroptosis 
著者:Namika Yoshida†, Ayaka Tanaka†, Kotoha Takaki and Susumu Tanaka. (†These two authors contributed equally to this work) 
掲載誌:Biomed J Sci & Tech Res 59(3)-2024. BJSTR.MS.ID.009318. 
 
<論文概要> 
鉄分は必須栄養素でありますが、過剰な鉄分に対して生体内の防御機構として鉄依存性細胞死(フェロトーシス)が起こります。鉄による過酸化脂質の増大が細胞膜を傷害し細胞を死へと向かわせます。一方、ヒトの子宮内膜は月経による剥離後、再生し、その後、受精卵を受け入れるために分化(これを脱落膜化と呼ぶ)します。妊娠が成立しない場合には再び月経を起こします。月経とは、血液および剥離子宮内膜(月経血)が周期的に排出されることですが、内膜の一部は月経後も残存し血液由来の高濃度の鉄に晒されながらもフェロトーシスを起こすことなく、再増殖し着床に必須の脱落膜化を起こします。そのため、子宮内膜細胞は鉄への高い耐性を有していると考えられていました。 
 
本研究において、胚由来細胞株では鉄処理で細胞増殖が阻害され、かつ細胞傷害も受けるのに対し、子宮内膜細胞株では逆に増殖能が上昇し、細胞傷害性が低下することを見出しました。一方で、鉄処理による脱落膜化指標への影響は観察されませんでした。さらに鉄処理によるフェロトーシス指標の低下も観察されたことから、月経時の高濃度鉄暴露はその後の過剰な炎症の抑制と正常な脱落膜化に必要であることが示唆され、子宮内膜の再生と分化にとっても月経時の積極的な鉄分の補充が重要であると考えられました。 
 
本研究は令和6年度長崎県立大学学長裁量教育研究費、ならびに2024年度公益財団法人山口内分泌疾患研究振興財団奨学寄附金の助成を受けて行われました。
地域創生研究科 栄養科学コース・吉田南海香さん(左)と栄養健康学科・田中彩香さん(右)
TOPへ戻る