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地域創造学部の虞尤楠講師が「労働関係論文優秀賞」を受賞しました
2024-01-22
カテゴリ:お知らせ
 地域創造学部 実践経済学科 虞尤楠講師が独立行政法人労働政策研究・研修機構が表彰する「第24回労働関係論文優秀賞」を受賞しました。

 この表彰は、労働問題の新進研究者の調査研究を奨励することを目的としたもので、今回、虞尤楠講師の論文「日本企業における男性の育児休業の普及-先行要因の解明と業績への影響の検証-」が受賞論文の一つとして選ばれました。今回の受章に輝いた論文の要旨は以下の通りです。

【論文要旨】
 本研究では、日本企業における男性の育児休業の普及を分析する。具体的には、男性の育児休業の先行要因(どのような要因が普及に影響を与えているか)と業績への影響(普及は企業の業績にどのような影響を与えているのか)を検証する。日経 225 企業の 2004 年度から 2020 年度における企業別年度別のパネルデータを用いた計量分析の結果、WLB施策に積極的な企業においてほど、男性の育児休業が普及しており、ひとたび普及が始まれば、企業内におけるピア効果を通じて普及が自走していく関係が明らかにされた。

 一方、業績への影響に関する分析では、統計的に有意な水準での効果を確認することはできなかった。このように、業績への効果が確認できないのであれば、その普及を企業の自発的取り組みだけに期待するのは難しいかもしれない。男性の育児休業取得の便益を享受するのは、必ずしもその男性を雇用する企業に限られているわけではなく、その妻であったり、その妻を雇用する企業であったり、ひいては社会全体であったりする。実際に、育児休業を含む男性の働き方の見直しは、女性が結婚や出産、育児などを理由に職業キャリアを中断せずに積み重ねていくためにも必要とされている。
 この意味で、男性の育児休業には外部性が存在すると考えられ、個々の企業による取り組みだけでは社会的に不十分な水準にとどまるおそれがあり、公共部門による政策介入の必要性が示唆される。


 今回の受賞は、着眼点の新規性が高く,重要な政策的インプリケーションを得ている点が高く評価されました。また、統計分析にあたっては、操作変数法や固定効果モデル等を用いて、男性育休変数の内生性問題にきちんと対処しており、堅実な統計分析を施している点等も併せて評価されたことによるものです。

 虞先生、この度の受賞おめでとうございます。

独立行政法人労働政策研究・研修機構
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