本文へ移動

海外語学研修体験記

【vol.55 2023年8月】(中国・西安外国語大学 大川 桃愛さんより)

                              地域創造学部 実践経済学科3年 大川 桃愛
 固定観念にとらわれない

 私が中国に行った時期は、福島県の汚染水問題で日中情勢が悪化している状態だった。政府から「日本語での大きな声での会話は避ける」、「デモに遭遇したら目を合わせないようにその場から離れる」と連絡があり、語学力だけの不安だけではなく、むしろ恐怖という思いが強いなかでの参加であった。その影響もあり、私の中での中国に対するイメージは、「中国人はそもそも日本人が嫌い」、「冷たい人が多い」、「詐欺が多い」というネガティブな要素が多くあった。しかし、親日の方は想像以上に多く、自分の考えを素直に表現する文化や日本よりもキャッシュレス決済が進んでいることなど私にとってはすごく刺激的であり、中国に対する見方を180度変えることができた経験になった。

 西安外国語大学での授業では、フランス、ルーマニア、韓国人など様々な国の学生と同じ講義を受けた。初めのうちは言語の壁があることの不安から日本人学生とばかりの交流しかできなかった。しかし、自分の知っている語学力で何とか話したいという気持ちと1か月しかないからこの時間を有意義なものにしたいという想いからクラスメイトとのコミュニケーションを積極的にした。中国語と英語しか話せない中で、お互いどのように話すと理解してもらえるのかを考えながら話していたので1ヶ月という短い期間ではあったが、圧倒的成長を実感できた。

 そして、中国実際に行ってみて得られた学びも多くある。
 生クリームなどの生ものは当たりやすいからあまり食べない方がいいこと、物価が安すぎること(西安市内であればバスで100円以内でどこへでも行ける)、日本人は思っているより歓迎されること、Wi‐fiは日本で多めに買っていった方がいいこと、トイレは想像の倍以上きたないことなど他にも多くある。

 中国人は声が大きいのは事実だが、反日の人はごく少数であった。私は、日本のテレビで報道されている情報はすべて事実だと思っていたし、中国よりも報道の制限はかなり少ないと知らないうちに思っていた。しかし、今回の留学では、日本でも誇張されて報道していることや偏った意見を取り上げているメディアが多く存在することを実感した経験にもなった。一歩下がって客観視することで新しい見方ができることがある。これらの経験を活かして、先入観やイメージをもつことは悪いことではないが、情報の移り変わりが激しい時代だからこそ、多面的にアンテナをはり、既存の観念にとらわれることなく未来の創造に携わっていきたい。
TOPへ戻る