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研究ピックアップ 
竹田 英司
地域創造学部 実践経済学科 准教授 竹田 英司
地域経済学や観光経済学をもとに、地域再生や産業観光について研究しています。

地域創造学部 実践経済学科 准教授
竹田 英司 (タケダ エイジ)

#地域経済学(地域産業論・中小企業論) #観光経済学 #地域連携貢献学
Q.01
研究テーマとその内容、具体的な取り組みについて教えてください。

A.
日本の地方都市は、人口が減少しています。人口減少の影響を受けて、消費者だけでなく生産者も減っています。地方創生とは、人口減少下での地域経済活性化を意味します。そして地域経済活性化とは、「地域の稼ぐ力」である地域産業を再生や育成することにあります。「地域の稼ぐ力」である地域産業がなければ、地域の持続的成長はありません。どうのようにして稼ぐのか。これが地方創生の答えです。
ゼミナール・地域産業研究室では、地域経済学や観光経済学をもとに、地方創生、地域再生、産業観光について研究しています。ここ数年は、長崎県波佐見町や佐賀県有田町などで、産業観光や農業観光と地域産業再生に関する調査研究を継続しています。
Q.02
この研究をはじめようと思ったきっかけについて教えてください。

A.
私自身は、「雪駄(せった)」地場産業の職人として、祖父や父のもとで修行を積み、独り立ちしようとしたとき、「これからは良いモノを作るだけではなく、消費者が求めているモノを作り売る必要がある」と祖父の助言を受け、事務機の法人営業職や、家電の店頭販売職に就きました。いずれは、祖父や父のもとに戻って職人になる約束でしたが、人と接することが楽しくなって、ついにはマーケティングを勉強するために、大学院へ入学しました。しかし、学ぶうちに興味関心が「何を・誰に・どのように作り売るのか」というマーケティングから、「生き残る生産地と消えゆく生産地の違いはなにか」という地域経済に変わりました。
Q.03
研究内容が身近な社会とどのように関わり、影響を及ぼすのか教えてください。

A.
ここ近年は、団体観光から個人観光へ、そして物見遊山的な観光から、観光先で何かを体験する体験観光や、観光を通じて何かを学ぶ学習観光へ、観光の質が変わってきました。産業観光や農業観光は、体験観光であり学習観光です。産業観光や農業観光は、地域の生活に密着した観光です。しかし地元の人たちは、身のまわりのモノやコトがあまりにも日常的存在すぎて、それらの価値に気づかず生活しています。身のまわりのいたる所に、観光資源や付加価値は潜在しています。住んでいる地域の歴史、産業、文化など、身のまわりにあるモノやコトとその特色を見つめ直し、経済学的に「地域の稼ぐ力」として再構築することが、研究を通じた地域貢献や社会貢献です。
Q.04
今後、研究をどのように進めていこうと考えていますか。

A.
たとえば産業観光について考えると、消費者が長崎県波佐見町へ来て、波佐見焼そのものや波佐見焼工房を見て楽しんだり、観光ガイドや職人から地域の歴史や文化を学んだり、陶土を練りろくろを廻す体験を楽しんだり、というような「来て」「見て」「学んで」「体験して」「お金を使う」経済行為について、学生たちと現地調査を通じ研究しています。たんに地域資源を発掘するだけでは、地方創生や地域再生とはいえません。潜在する観光資源や付加価値を見つめ直し、地域でお金を使ってもらうという経済行為に結びつけていく。つまり「地域の稼ぐ力」である地域産業を再生や育成していくことについて、ゼミナール・地域産業研究室では学生たちと一緒に探求します。
Q.05
ゼミや講義で学生を指導をする上で、いつも心がけていることや大切にしていることはありますか。

A.
学生たちが大学での学びを通じて、①何を学んだのか。②どのように学んだのか。③なぜその学びが必要なのか。④どのようにその学びを使うのか。学生自身が、これら4つを振り返ることができる実践教育も研究しています。私が担当している「ビジネス経済の実践」「地域企業研究」では、地域経済や地域企業と経済理論を関連付けて考察する実践教育に努めています。座右の銘は、「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る」(井上靖)です。学生たちには、授業やゼミナールを通じて、社会で生きてゆくために必要な社会人基礎力や社会人マナーも高めてほしいです。
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