国際的研究
栄養科学コースと栄養健康学科学生の研究成果が国際機能性栄養学雑誌に掲載!
2024-12-16
カテゴリ:お知らせ
(大学院 地域創生研究科 栄養科学コース・栄養健康学科からの投稿)
本学 大学院 地域創生研究科 栄養科学コース修士1年生・吉田南海香さんと栄養健康学科4年生・髙木琴葉さん(指導教員:栄養健康学科 田中進教授)の共同研究をまとめた論文が査読付き国際学術雑誌に掲載されました。
論文タイトル:Vitamin D3 regulates HAND2 expression in endometrial stromal cell decidualization.
著者:Namika Yoshida†, Kotoha Takaki†, Ayaka Tanaka and Susumu Tanaka. (†These two authors contributed equally to this work)
掲載誌:International Journal of Functional Nutrition 5 (1): 7, 2024.
<論文概要>
ビタミンD3(VD3)サプリメントは妊娠率を高めることが知られています。VD3は本来受精卵への影響を及ぼすことで妊娠率を高めると考えられてきましたが、近年の報告により胚の着床に不可欠な子宮内膜の分化(脱落膜化)へのVD3の関与も示唆されるようになってきました。しかしながら、その詳細なメカニズムは不明でした。
本研究において、ヒト子宮内膜細胞へのVD3の影響を検討し、子宮内膜が脱落膜化する際に発現上昇しその後の子宮内膜での多くの遺伝子の発現調節に関わるheart and neural crest derivatives expressed 2 (HAND2)を上昇させ、プロラクチン(PRL)の上昇を抑制することを明らかとしました。PRLによる胎児細胞の子宮内膜への浸潤能の調節が知られ、本研究にて作成した浸潤モデルにおいてもVD3の添加により浸潤能が調節されました。
PRLが過剰になることで、不妊の原因となる子宮内膜症や子宮筋腫の発症が知られており、脱落膜化におけるVD3による適切なPRLの発現制御が胚着床の成功に重要と考えられました。一方、過剰なVD3はPRLを抑制しすぎる可能性も存在するため、VD3補充のタイミングと量の検討が今後の課題となっていくものと思われます。
本研究は令和6年度長崎県立大学学長裁量教育研究費、ならびに2024年度公益財団法人山口内分泌疾患研究振興財団奨学寄附金の助成を受けて行われました。