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研究ピックアップ 
前田 竜孝
公共政策学科 前田 竜孝 講師
地理学的な観点から見た人間と自然の関係性について

公共政策学科 講師
前田 竜孝 (マエダ リュウコウ)

#人文地理学
Q.01
研究テーマとその内容、具体的な取り組みについて教えてください。

A.
漁業活動と水産物流通を事例にして、人間と自然の関係性について地理学的な観点から研究しています。調査方法は、主に聞き取りと行動観察を中心にしたフィールドワークを行っています。漁業関係者と深くつきあいながら、彼らの日々の時間利用、集出荷行動を調べたり、調査地を中心とした水産物の流通構造を分析したりしてきました。これまで、愛知県西尾市一色町、大阪湾沿岸、播磨灘、長崎県松浦市などで調査してきました。
Q.02
この研究をはじめようと思ったきっかけについて教えてください。

A.
学部の卒業論文で愛知県西尾市一色町の養鰻業を研究したのがきっかけです。調査を通して、ハウス内のコントロールされた環境でも、水温管理や稚魚の育て方など養殖技術に違いが生まれることに興味をもちました。また、出荷作業にみられる人間関係にも関心を持ちました。漁業をめぐる技術や人間関係が地域のなかで複雑に構築されている姿をより深く描きたいと考え、漁業を地理学的に研究するようになりました。
Q.03
研究内容が身近な社会とどのように関わり、影響を及ぼすのか教えてください。

A.
わたしたちは生きていくためには外側の世界と接点を必ずもちます。それは、空気や地表面にとどまらず、自分以外の人間や動物、食べ物とも関係します。ただし、その関係は良好なものとは限りません。災害や環境問題、公害、食中毒など時に解決困難な関係性にわたしたちは巻き込まれます。このように、複雑な人間と「取り巻く何か」との関係を考えることは、よりよく生き、社会問題の解決を探る上ではとても重要だと思います。
Q.04
今後、研究をどのように進めていこうと考えていますか。

A.
水産物流通に関しては、現在、魚食について考えています。水産物を食べるということは、魚が獲れる海や漁師、魚の加工場、仲買人など多様な人々と身体的に関わることです。身体がそうした様々な人やモノと、スケールをまたぎながらつながっていることを具体的な地域の食を事例に描きたいと思っています。特に、海は温暖化、海ごみの問題、水産物資源の問題と、いくつもの環境問題を抱えています。こうした事象と水産物を食べるということが関係していることを実証していきたいと思います。
Q.05
ゼミや講義で学生を指導をする上で、いつも心がけていることや大切にしていることはありますか。

A.
身の回りの出来事がなぜ起きているのかを深く考えるように指導しています。これは、安易に解決策や提言をまとめるのとは異なります。まず現象が起こっている構造や社会的・経済的・自然的な背景を考えることが重要だと思います。そのためには、多様な人々の声に耳を傾けたり、さまざまな論文や書籍を読んだりすることが大切でしょう。過去に似たような現象はないのか、それがかつて地域にどのような影響を及ぼしたのかなど、多角的に身の回りの出来事を捉えるように指導しています。
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