Society5.0の実現に向けたセキュリティ対策を確立するための研究
情報システム学部 情報セキュリティ学科 教授
情報システム学部 情報セキュリティ学科 教授
小林 信博 (コバヤシ ノブヒロ)
#情報セキュリティ領域(情報セキュリティ/制御システムセキュリティ、CPS、IoT)
Q.01
研究テーマとその内容、具体的な取り組みについて教えてください。
A.
我が国が目指すべき社会の姿として掲げているSociety 5.0 は、「サイバー空間とフィジカル空間(現実世界)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」と定義されており、一例として、現実世界のセンサーから IoTを通じてあらゆる情報が集積(ビッグデータ)され、AIがビックデータを解析し、機器の制御などを再び現実世界に戻すことが示されています。一方で、悪意によるサイバー攻撃を受けた場合に、現実社会にもたらされる被害が増大することが懸念されます。そこで、Society5.0の実現に向けてIoT制御システムの弱点となる脆弱性を発見し、そのセキュリティ対策を確立するための研究に取り組んでいます。
Q.02
この研究をはじめようと思ったきっかけについて教えてください。
A.
IoTやAIなど新しい技術により私たちの生活が豊かになることは大変素晴らしくワクワクします。しかし、その新しい技術がこれまで以上の負の効果を生み出すとしたらどうでしょうか。見て見ぬふりをしても心の中の不安は消えませんし、いつか大きな問題が発生するかもしれません。リスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。我々の目指す社会が本当に豊かである為には、安全・安心の確保が必要不可欠だと考えてこの研究を始めました。
Q.03
研究内容が身近な社会とどのように関わり、影響を及ぼすのか教えてください。
A.
スマホやパソコンをインターネットにつなげて様々なサービスを利用することが、日常的になってきました。この便利なインターネットに、これまではつながっていなかった機器や装置を新たにつなげて利活用する考え方がIoT(Internet of Things)です。家庭の照明やエアコンと連動したAIスピーカ、気象センサー等を活用した自治体の防災システムなどはその一例です。今後は、配送用のドローンや工事ロボットなどの新しいIoT制御システムが、日常生活の中に入ってくるようになるでしょう。個々の機器や装置に注目するだけでなくシステム全体を俯瞰的に捉えることが、リスクの本質を理解し、効果的な対策を導入あるいは新たに生み出すことに繋がると考えています。
Q.04
今後、研究をどのように進めていこうと考えていますか。
A.
Society5.0 の実現には、学術の観点に加えて経済や行政の観点も必要となることから、産官学の連携がポイントになると考えています。現在、自治体ならびに企業と協定を締結して取り組んでいるIoTセンサーネットワークにかかる実証試験を今後も継続し、情報セキュリティ上の可用性を確認するための実証試験を推進していきます。そして、この検証結果を、地域の活性化と、未来の街づくりの安全・安心の確保に向けて活用していこうと考えています。
Q.05
ゼミや講義で学生を指導をする上で、いつも心がけていることや大切にしていることはありますか。
A.
新たな問題に直面した際にそれを自分自身で解決する能力を身に付けられるよう、正解に至るまでの考え方やプロセスについても伝えるよう心がけています。また、知識を実践する機会を設けることで、達成感と本質的な理解に繋がることを期待しています。
そして、技術の前では皆平等との意識から、教員と学生が自由闊達に意見を交わせるような雰囲気を大切にしています。
そして、技術の前では皆平等との意識から、教員と学生が自由闊達に意見を交わせるような雰囲気を大切にしています。