【vol.20 2012年1月】(中国・上海外国語大学 剣持 舞さんより)
国際交流学科2年 剣持 舞
上海に来て、早いもので半年が経ちました。わたしが通っている上海外国語大学では1月5日~2月26日の約2ヵ月間は冬休みとなっているため、学生は、自国へ帰ったり旅行したりとそれぞれ楽しんでいます。
私もかつて、高校時代に約1年間を過ごした甘粛省・蘭州市のホストファミリーの家庭と友達を訪ね1週間を過ごしてきました。当時はコンビニが1つもなかったこの市に高層ビルや大型デパートができていたり、ごみの散乱がなく町が綺麗になっていたりとその発展は目を疑うものでした。建物が高くなっているだけではなく物価も上がっており、当時3元(現在で36円弱)だった蘭州ラーメンが5元(現在で60円)になっていたり、蘭州ラーメンにトッピングとしてのせられる牛肉が3元から4元になっていました。給料も上がっているため人々の暮らしが以前より裕福になったのを感じました。中国では、大都市だけでなく内陸部までも発展していることを実感しました。
しかし、その裏では、スリをして生活している人や公共の場で物乞いをしている人がいます。1元(12~13円)を貰っただけで「ありがとう、ありがとう」と言って頭を下げ嬉しそうにしています。しかし、1元(12~13円)では何も買うことが出来ません。たった何百円かの現金を得るために自分の身を削って生きているのです。私たちは、彼らの存在を忘れてはいけません。また、日本人や先進国の人間には想像できないような現実が中国にはまだまだたくさんあります。確かに、中国の発展は速く素晴らしいものですが、それと同時にそのスピードに付いていけない人々がたくさんいます。上海に住んで格差の大きさを改めて感じました。中国は日本を抜きGDPが世界2位(2010年)になりましたが、約13億人の生活水準はみな平等ではありません。
上海の生活は、毎日8時から授業が始まり11時半には終わります。午後の授業は選択授業です。私は、「中国と外国の文化交流」「書道」「切り絵」の3つの授業を選択しました。どれも中国文化であり中国でしか学べない授業で、特に「中国と外国の文化交流」はシルクロードが出来てから、現在までの国際交流の流れや各国の結びつきを中国側から学ぶもので、日本の世界史で学ぶのとは違う切り口での学べる1つであり、私にとってはとても興味深い授業でした。
また、中国でしかできない事に挑戦したいと思っていたのと自身のスキルを磨くために、週に3回中国人が経営しているレストラン&バーで働いています。基本的にはウェイトレスで、日本人のお客さんが来た際には中国人スタッフとの通訳をしています。私は、この職場では中国人のウェイトレスと同じ場所に立ち、日本人でありながら中国人と同じように扱われています。私自身、中国の一般家庭に住み地元の高校に通った経験から中国の文化や民族性をよく理解しているので何の問題もないだろうと思っていましたが、いざ働いてみると語学面だけでなく価値観の違いやサービスを提供するやり方が全くと言っていいほど異なっており、難しいことや理解しきれない事がたくさんあったり、同僚のウェイトレスと衝突する事もありました。
しかし、これも勉強のうちと考え受け入れてきました。今ではこの職場で働くことが楽しくて、物事や文化の違いを認め、日本人である自分の考えが受け入れられた時やお互いに分かち合えた時の喜びが嬉しくて、この職場を離れられません。この職場は日々私を成長させ、刺激のある時間を作ってくれます。今では、ここで働いてよかったと思えるようになりました。
最後に、私が留学したからこそ得る事のできたことがたくさんあります。楽しいことも辛いことも今の私を成長させてくれた糧になっていると思います。まだまだ未熟で、世界で通用する人間になるにはほど遠いと思いますが、この国際都市と言われている上海で、自分の経験が糧になるよう残された半年間を精一杯努力していきたいと思います。
この留学を支えてくれた両親・大学の先生方やスタッフの皆様本当にありがとうございました。