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ハミルトン系で書ける最も簡単な散逸系

2024-08-27
カテゴリ:数学
散逸系とは,エネルギーが時間とともに減少または増加する系のことである.摩擦によって熱として力学的エネルギーが失われるのが典型的な例である.通常,ラグランジュ系やハミルトン系に散逸力を入れるには, 一次元空間上の位置x,速度v=x˙,ラグランジアンL=L(x,x˙)に対して, ddt(Lx˙)Lx=Q のようなかたちで外力としてとりいれるしかない. ここで,Qはいわゆる散逸力で,その仕事により力学的エネルギーが減少する.
しかし,一次元の簡単な場合であればラグランジュ系やハミルトン系にできる.例として,速度に比例する抵抗力を受ける場合の運動方程式 dvdt=kv を考える. ここで,単位質量の質点の運動を考え,速度と運動量を同一視する. 運動方程式の両辺を時間で積分すると v(t)v(0)=k(x(t)x(0)) これは速度vを位置xの関数として表す式になっている.ただし初期条件x(0),v(0)が含まれている.これらを単なるパラメータとして扱うことを強調して x0=x(0),v0=v(0)とおき,もとの運動方程式に代入すると,ポテンシアルを使った表現に書き換えることができる: dvdt=k[v0k(xx0)]=kx[v0xk2(xx0)2] すなわち, U=k[v0xk2(xx0)2] がポテンシアルである. ハミルトニアンを H(x,v)=v22+k[v0xk2(xx0)2] で定義すると, 正準方程式 dxdt=Hv,dvdt=Hx は上述の運動方程式を与えるので,ハミルトン系に書き換えることができたことになる.
上の議論はささやかな一般化が可能である.kf(v)vに置き換えた,運動方程式 dvdt=f(v)v を考える.たとえば,高速移動するボール(Re=500105)は速度の2乗に比例する空気抵抗を受けるが,f(v)=kvの場合に対応する. f(v)で割って,両辺を時間で積分すると v01f(v)dv=x(0)x(t) となる.ここから先はf(v)の具体的な式で1/f(v)の不定積分とその逆関数の計算ができる必要であるが,それが求められたとする. 左辺の積分の結果をG(v)と書くと, v=G1(x0x) のように,vを位置xの関数に表すことができる.これで,vを消去して U(x)=f(v)vdx=f(G1(x0x))G1(x0x0)dx でポテンシアルを定義すれば,運動方程式を dvdt=Ux と書くことができ,同様にハミルトン系にできる.
しかし,速度比例抵抗だけというのもあまり面白い力学系ではない.通常は重力やばねの復元力などの保存力が働く.重力の場合 dvdt=gkv は,無理矢理 vf(v) の形でできるので,上述の議論に落とせる.他方,復元力κxは座標依存性がでてくるので うまくいかない.シンプレクティック積分法のように,κxだけ,kv だけのハミルトン系を混ぜることが一案 として考えられるが,きれいなハミルトニアンにはならないだろう.というところで,筆を置く orz.
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