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【研究紹介⑤】片山徹也教授のVDT画面デザインのユーザビリティ及びアクセシビリティに関する研究を紹介します
2023-10-01
<研究目的>
 幅広い分野でデジタル化が進む高度情報社会において、コンピュータやタブレット、スマートフォン等のデジタルデバイスや公共空間に設置されたタッチパネルの利用が増加しています。その一方で、デジタルデバイスの利用やVDT作業に起因する疲労や睡眠への影響やVDT症候群等の心身への弊害が指摘されています。VDTとはVisual Display Terminalsのことで視覚表示端末とも呼ばれます。これらの機器を介して提供されるWebサイト等の多様な情報コンテンツのデザイン面に着目し、人間中心設計(HCD:Human-Centered Design)誰もが快適に利用できる画面デザインに関する研究を行っています。様々なデジタル端末に備えられているディスプレイ画面内のデザインを構成するフォントや配色等の要素に着目し、デザイン学的視座と人間工学的視座において、ユーザビリティやアクセシビリティの高いユーザインタフェースを提供するための画面表示や色彩設計を明らかにすることを目的としています。
<研究方法>
 デザインが利用者に及ぼす影響を知るための測定項目として、作業効率、心理的反応、生理的反応が挙げられます。作業効率は、デジタル端末を用いた入力作業等を行う際の作業量や作業速度、エラー率等です。心理的反応の測定には、アンケート調査や自覚症調べ、SD法による印象評価等を用います。VDT作業に関わる生理的反応としては、覚醒や疲労の程度を推定するためのCFF値(フリッカー値)やアイトラッカーを用いた視線の計測、瞳孔径や瞬目数の変化等を用いることができます。これらの測定データを用いて、異なるデザインに対する見にくさ、使いにくさ、疲労、悪印象等の要因を特定することで、使いやすく利用目的が達成しやすい画面デザインに適した文字表示や色彩設定を検討することができます。

<主な研究結果>
(1) 国際基準(WCAG:Web Content Accessibility Guidelines)が定めた背景色と文字色の相対コントラスト比4.5:1に適合する場合においても、利用者が画面を閲覧する際の見やすさや読みやすさを低下させる配色があること。
(2) 文字色と背景色の明度差が十分に得られる配色の場合、陽画表示(ポジティブモード:背景色が文字色より高明度)は陰画表示(ネガティブモード:背景色が文字色より低明度)より疲労感の抑制に適している可能性が考えられること。
(3) 画面に対するイメージ評価が低い配色は、身体的疲労感が軽度の場合においてもエラー率が増加し、作業の正確性を低下させる場合があること。

<主な科研費採択課題>
・基盤研究(C)公共空間におけるタッチパネル画面のユーザビリティを高める配色パターンの開発(研究代表者)2019年4月~2024年3月
・基盤研究(C)タブレット画面の文字色と背景色の色彩がアクセシビリティと生理心理反応に及ぼす影響(研究代表者)2016年4月~2020年3月
・基盤研究(C)有彩色によるVDT画面が作業効率と生理的心理的反応に及ぼす影響(研究代表者)2012年4月~2015年3月
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