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トピックス

【研究紹介⑥】飛谷謙介准教授の感性情報および画像生成に関する研究を紹介します
2024-01-01
①:UXハニカム構造に基づくwebサイトに対する印象のモデル化
近年のweb開発において、動的なデザイン開発の考え方が提案されたことにより、webサイトを介して得られる印象や体験が豊かになった。その結果UXを意識した要素が重要視されるようになった。本研究では、UXハニカム構造とポートフォリオサイトを対象とし、ポートフォリオサイトのサンプルを用いて評価語の収集と印象評価実験を行った。その後、因子分析を行い、「操作性」「独自性」「基本的好感」の3つの因子が確認された(図1-1)。確認された3つの因子を用いて、「価値があるか」に対する重回帰分析を行い、印象のモデル化を行った(図1-2)。最後に、ポートフォリオのサンプルに対して3つの印象因子の因子得点を用いて階層クラスタ分析を行い、サンプルを分類することで「価値がある」ポートフォリオサイトの特徴について明らかにした(図1-3,4)。
図1-1 抽出された因子と因子相関図
図1-2 重回帰分析のパス図
図1-3 クラスタ分析結果
図1-4 各クラスタの特徴
②:CNNを用いたイラスト生成における印象制御手法
本研究では、印象に基づく男性イラストの画像生成手法を提案し、画像中のイラストとその特性との関係を体系的にモデル化した。提案手法は、データセットの作成、StyleGAN2-ada手法によるモデル構築、GANSpaceによる潜在空間の解釈に大別できる。データセットの作成では、ランキングサイトに基づき、pixivやSafebooruなどのWebサイトやbingの画像検索等を使用し、計7270枚の画像から成るデータセットを作成した。StyleGAN2-adaによるモデル構築では、事前学習済みモデルを用いて、作詞絵したデータセットを転移学習することにより、男性イラストの生成モデルを構築した。GANSpaceによる潜在空間の解釈では、転移学習によって構築したモデルにおける潜在空間を512次元から80次元に次元削減し、寄与率の高い第1主成分から第10主成分の方向に沿って潜在変数を5段階に変化させ、男性イラスト画像を生成した(図2-1)。その結果、顔の向きや表情の豊かさ、髪の長さなど、それぞれ画像内の主要な特徴が変化しており、男性イラストの潜在的な因子や特性に関するもつれがほどかれた軸を得たことを確認できた。潜在空間のもつれがないということは、男性イラストの特性が上手く分離できており、制御可能であることを意味する。
図2-1 イラスト生成・制御結果
③:ユーザを引き込むソーシャルゲームのチュートリアル構造
本研究では、ソーシャルゲーム(以下ソシャゲ)のチュートリアルを対象とし、ユーザ体験に基づいたチュートリアルの印象をモデル化した。まず、評価語収集・評価語選定実験を行い、ソシャゲのチュートリアルを評価するのに相応しい評価語を選定した。次に、主観評価実験で10種のソシャゲに対する印象を調べ、得られたデータを元に因子分析を行うことで、「ゲーム性」、「ゲームクオリティ」、「煩労感」の3つの因子がチュートリアルの印象に大きく関わってくることが確認できた(図3-1)。さらに、3つの因子と、実験の結果からわかったユーザ継続意志アプリランキングを元に考察することで、「ゲーム性」因子が持っている達成感を刺激する構造を作ることが重要であることや、「ゲームクオリティ」、「煩労感」因子の関係性から、煩労感を最低限にする構造を作ると共に、ストーリーにこだわりチュートリアルが長くなってしまう場合はゲームクオリティがユーザに伝わりやすくすることが必要であると確認できた。これらの要素を組み込むことでユーザを引き込むソシャゲのチュートリアルの特徴について明らかにした(図3-2)。
図3-1 得られた因子構造
図3-2 ユーザを引き込むチュートリアル構造の特徴
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