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研究ピックアップ 
平尾 盛史
経営学部 経営学科 講師 平尾 盛史
近年の流通システムの変革、生産企業の戦略の影響について

経営学部 経営学科 講師
平尾 盛史 (ヒラオ モリフミ)

#産業組織論 #マーケティング
Q.01
研究テーマとその内容、具体的な取り組みについて教えてください。

A.
近年の流通システムの変革が、それぞれの生産企業の戦略にどう影響するかを調べています。もう少し詳しく述べると、有名どころではAirbnbやUber Eatsと言ったシェアリングサービスの台頭に代表されるように、消費者にとってモノやサービスは必ずしも店舗で入手する必要は無くなり、そのアクセスや利用の形は多様化し続けています。こうした川下の変化を、その川上に位置する生産企業はどう理解し、そして自身の経営やマーケティングに係る戦略的な意思決定にどう反映すべきだろうか?と言ったことに興味関心を持っています。また研究には数理モデル、すなわち数理的な解析をその研究手法に主に用いています。
Q.02
この研究をはじめようと思ったきっかけについて教えてください。

A.
少し専門的な説明となりますが、ここ10年ほどで「流通システムの変革」それ自体に関する研究は相当に蓄積されてきました。とりわけ既存のリテラチャーの中では、「消費者の購買行動がどう変わるか?」そして「新たな流通システム(プラットフォームなど)はどのような特徴を持つか?」の2つのクエッションが焦点となっています。一方で、その流通システム内で出回る製品やサービスを生み出すのは、従来通り生産企業であることにはおおよそ変わりはありません。既存の議論の中では、流通システムの変革と生産企業の関係は明示的には議論されておらず、しかし重要な視点であると考え本研究に着手しました。
Q.03
研究内容が身近な社会とどのように関わり、影響を及ぼすのか教えてください。

A.
あらためて述べると、この研究は昨今の流通システムの変化が、生産企業の戦略にどう影響するかを考えるものですが、生産企業の戦略が変われば、その変化は社会にすなわち、我々の生活にも影響を与えます。例えば、自身が進めている研究の1つに「シェアリングサービスの登場によって生産企業は製品の品質水準をどう調整するか?」を分析したものがあります。実際に分析してみると、産業によっては生産企業は製品の品質水準を下げてしまう場合もありうることが示されました。自分達が利用できる製品の品質水準が下がることは、もちろん私たち消費者にとって悲しいことです。こうした形で、自身の研究は生産企業の戦略を分析しつつ、その向こうに社会への影響を考えるものでもあります。
Q.04
今後、研究をどのように進めていこうと考えていますか。

A.
この研究は最近になって始めたばかりです。有り体に言えば研究の方向性についても模索段階にあります。当面は、上に書いた「品質水準の調整」だけでなく、生産企業の経営やマーケティングに係るさまざまな側面(チャネルの選択、製品ライン幅の調整、などなど)に着目し、流通システムの変革がそれらの戦略的な意思決定どのように作用するか、幅広く分析を進めていく予定です。将来的には必要なデータを集めて、開発したモデルをベースに、実証的な検証も行いたいと考えています。
Q.05
ゼミや講義で学生を指導をする上で、いつも心がけていることや大切にしていることはありますか。

A.
教えてもらう前に、自分で考えてもらう、または手を動かしたもらう機会を作ることを心がけています。つまり演繹的に学ぶ前に帰納的に学んでもらうということです。それはゼミでも講義でも同様です。その理由は、自分自身の体験と相対化しつつ体系的な知識に触れてもらいたいと考えているからです。
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