第3回 基礎解析

 6月17日(金)5時限目(16:20~17:50) W103

概要 関数の微分について。 補足 問3

キーワード 微分可能性 微分可能関数 導関数 導関数(微分)の公式

レポート1 問1の3、問2の8、問3の2の2(レポートは返却しません。必要があれば自分でコピーを取っておきなさい) 解答
  1. 微分可能性

     関数 y=f(x) のグラフで x = a の点における接線を引くにはどうしたらいいか?

     そもそも直線は通過点と傾きがわかると決まる。通過点は、まさに点(a, f(a)) だから、傾きmがどうにかして分かればいい。この傾きを与えるのが、微分という演算である。

    1. 定義

      極限計算の基本式(補足)参照.

      * 増分hは決して0にならない。0にならずに限りなく0に近づく。
      * hの0への近づき方は、任意である。どんな近づき方をしても、同一の値に近づくとき極限が定まる(収束する)という(補足参照)。

      微分係数 f'(a) は点(a, f(a)) におけるこの関数のグラフの接線の傾きである


    2. 微分係数の例
      1. y=f(x)=3x+1のx=2における微分係数を求める。

      2. y=f(x)=x2+1のx=2における微分係数を求める。

    3. 微分可能関数
       定義
       関数 f(x) が 定義域のすべての点で微分可能であるとき、f(x) を微分可能関数という。

       微分可能関数とは、その関数のグラフが、なめらかにつながっている(すべての点で、切れてなく、孤立してなく、折れていない)ような関数である。

       微分可能でない関数のグラフ
       


  2. 導関数

    1. 定義
      関数 y=f(x) が微分可能関数であるとき、x=a に対してその微分係数を対応させる

         a --> f’(a)

      が定義される。この新しい関数を f(x) の導関数といい、

         y = f’(x)

      とかく。

    2. 導関数の例
      1. y=f(x)=3x+1 の導関数を求める。

        したがて、求める導関数は、f’(x)=3 ・・・(答)

      2. y=f(x)=x2+1 の導関数を求める。

        したがって、求める導関数は、f’(x)=2x ・・・(答)

        今後、導関数を求めるときは、x のまま計算を行う。

      3. y=f(x)=xn の導関数を求めよ。

        したがって、求める導関数は、f’(x)=nxn-1 ・・・(答)

  3. 導関数(微分)の公式

      y=f(x)、y=g(x) ともに微分可能関数とする。このとき、以下の5つの公式が成り立つ。


    1. 証明




    2. 証明

    3. 定数倍(k:定数)

      証明



    4. 証明

    5. 商(g(x)≠0)

      証明

    公式を用いた導関数の求め方

    y=f(x)=3x4+2x3-4x2+5x-2

    の導関数は、上記公式の1,2,3を用いて、次のように計算してよい。

    f'(x)=3(x4)’+2(x3)’-4(x2)’+5(x)-(2)’

    =3×4x3+2×3x2-4×2x+5

    ゆえに、
    f'(x)=12x3+6x2-8x+5 ・・・(答)


次回 三角関数の微分、指数関数の微分、対数関数の微分など
補足
  1. 極限計算の基本式


  2. 微分可能関数でない例



  3. 数列の収束(極限値)について
    1. 定義  無限数列 {an}: a1、a2、・・・、an、・・・
      が α に収束するとは、

       任意の正の数εに対して、ある番号 N が取れて
      N より大きなすべての番号 n で、|an -α|<ε
      が成り立つこと、

      と定める。このとき、

      limn->∞an=α

      と書く。
      解説 αの回りにどんな小さな幅εを指定しても、この小さな幅ε中に無限個の項が存在するとき、αに収束すると定める。幅εの中に入らないのは高々有限個に過ぎない。

    2. 収束しない場合
       an>2(n=1,2,・・・)のとき、無限数列 {an} は 「1/2 に収束しない」と考える(これを「収束する」というには違和感があるでしょう!)。
       これを上述のような言い方をまねると、
      ある幅ε(=3/2)があって、どんな番号Nをとっても
      Nより大きなある番号nがあって、 |an-1/2|≧ε が成り立っている。
      この否定(収束する場合)が、上述した述べ方である。


    3.  an=1/n のとき、limn->∞an=0
      証明
       任意の正の数εに対して、N=[1/ε]+1([ x ] : x を越えない最大の整数)とすると、
      Nよりおおきな整数nに対して、
      n>N>1/ε より 1/n<1/N<ε
      よって、
      |an-0|=|an|=|1/n|=1/n<ε
      ゆえに、数列{an}は、0に収束する( limn->∞an=0 )。
      証明終

    4. 定理「有界な単調数列は収束する」
       単調増加数列: すべての番号 n で、an<an+1
       単調減少数列: すべての番号 n で、an>an+1

  4. 関数の収束(極限値)について
    定義
     xが限りなくaに近づくとき、関数f(x)がαに収束するとは、

     任意の正の数εに対して、ある正の数δが存在して、
     0<|x-a|<δならば|f(x)-α|<ε
     が成り立つときをいう。
     これを、

     limx->af(x)=α

     と書く。
     (:不等式 0<|x-a|は決して=にはならない。)

問3
  1. 関数 y=f(x)=x3-4x2-3x-1 について

    1. 関数f(x)の導関数を求めよ。

    2. x=2における、この関数のグラフの接線の方程式を求めよ。

    3. 上問2で求めた接線とグラフの他の交点を求めよ。


  2. 導関数(微分)の公式を使って、次の関数を微分せよ。




  3. 次の各問に答えよ。



2022年(令和4年)6月17日更新