筋肉の強さと90フィート

2012.07.24

梅雨も明け、暑い夏が来た。今年は停電を避けるために、クーラーを我慢して、汗をかく方が良さそうだ。「熱中症に気をつけて、年相応に」が肝心か。

様々なスポーツがあるが、すべてある一定の長さで決められた直線、面、あるいは空間で行なわれる。一次元の直線で勝敗を争うのは、陸上競技の短距離走や競泳である。陸上競技では、100メートル走だけは直線を走る速さのみを競う単純明快さがある。水泳の場合には一次元とはいえ、プールの長さ以上の距離なら、ターンの技術が勝敗に関係する。

二次元空間の中で勝負する代表格の1つに野球がある。野球の塁間距離(90
フィート)は実にうまくできていると思う。選手の肩の強さ、足の速さ、ピッチャーの投球動作の時間や球速、打球の速さ、等々のいくつかの要素が絡み合ってスリリングな場面ができあがる。内野ゴロが守っている野手の中間に転がると、内野安打となることがある。ランナー一塁の場面での内野ゴロは、ときには併殺打になることもあるし、そうでない場合もある。一塁ランナーの盗塁もセーフかアウトかいつも際どい。ランナーの離塁の距離、スタートのタイミング、投手の投球動作の速さ、投手と捕手の肩の強さ、投球のコース(内側か外側か)、捕手の投球の精度、打者が右打ちか左打ちか、等々の要素が重なってセーフかアウトが決まる。三塁ランナーが外野フライでホームインできるかどうかも、打球の飛距離によって微妙なタイミングになる。外野手の肩の強さはもちろん、ホームへのスローイングがやりやすい姿勢で捕球できるかどうかも、1点に影響する。以上の全てのことに塁間距離が重要なポイントになるのだが、全ての事柄ではらはらするような状況になるということは、腕、肩、腰、足等の筋力にある種のバランスがあるということなのだろうか。

野球では、利き腕がどちらであるかということは重要である。ホントのお遊びでやるとき以外は、一塁手以外の内野手、捕手に、左利きはいない。内野手は一塁へ投げることが最も多く、右利きに好都合である。右利きが多数派なので、塁を廻る方向は今のように決まったのだろう。捕手が盗塁を阻止するために投げるとき、左利きでは右バッターが邪魔になる。捕手は右利きなので、左打者なら、ランナーは盗塁しやすい。捕手が三塁へ投げる場合には、仮にバッターがそばにいなくても、右利きの方が投げやすい。内野手が一塁へ投げる場合と同じである。

バッターは、左打ちの方が有利である。バッターボックスから一塁までの距離は右バッターより短い。しかも、打撃のときの体重移動は、左バッターでは走り出す方向は傾いていく。一塁への走塁は、二重の意味で有利になる。

二次元空間で行う球技では、サッカーやラグビー、テニス等々、その空間の形や一辺の長さは決まっている。野球では塁間距離は決まっているものの、外野フェンスまでの距離はルールに決められている訳ではない。いい加減というか、おおらかというか。また、ボールがラインの外へ出ても、必ずしもゲームが止まるわけではない。この点も野球は他と違っている。さらに、ボールが動いている間に、人はその方向とはまるで無関係に動いて元の位置に戻ってくると得点、ということも他の球技とまるで違う。