お酒の話、その1

2012.11.15

秋たけなわ、何はおいてもお酒の話。お酒を飲んで酔うのは、「アルコール飲料」と呼ばれるように、それに含まれるアルコール(正確にはアルコールの一種であるエタノール)のせいである。エタノールは、ブトウ糖(化学物質としての名前は、グルコース)から微生物の一種である酵母の作用でできる。微生物の作用によって人間の役に立つものができるとき、このプロセスを「発酵」とよぶ。同じ微生物の作用でも、人間にとって不都合な場合には、これを「腐敗」とよぶ。

アルコール飲料にはいろいろな種類があるが、製造法として最も簡単なものは、ワイン。ブドウにはブトウ糖が多量に含まれているし、皮の表面には酵母が付着しているので、グチャグチャとつぶして放置すればワインができる。基本的にはブドウの質が味を左右する。したがって、「どこの」、「何年もの」、という具合にブドウの産地や気候、その他の条件が大いに気になる。極端な例が貴腐ワインやアイスワイン。これらはブドウ果実の水分が少なく、甘みが強い。

ブドウ糖からエタノールができる際、必然的に同じ量(分子の数)の炭酸ガスが生成する。一般的には、この炭酸ガスは空気中に逃がしてしまう。炭酸ガスも製品の飲料中に閉じ込めたものが「シャンパン」である。フランスのシャンパーニュ地方独特の製法によるワインである。他人と違うことをやって独自色を強調することの大切さが分かる。ワインを蒸留するとブランデーになる。

次がビール。この原料は基本的に大麦の芽(麦芽=モルト)である。麦芽にはブドウ糖そのものではなく、それが数多く化学結合でつながったデンプンが含まれている。デンプンには、酵母は作用しない。ところが、「幸いなことに」麦芽自体にデンプンを麦芽糖(ブトウ糖が2個つながった化合物)に分解する反応を促進する物質が含まれている。したがって、麦芽に適当な処理を施すと、麦芽糖が得られる。これにホップ等を加えて、酵母を作用させればビールができる。この場合には、副成する炭酸ガスも閉じ込める。故に、ビールは泡を伴う。ピラミット建設に従事した労働者には報酬としてビールが与えられたという。氷も冷蔵庫もない砂漠でのビールでも、重労働の後なら美味しかったのだろう。

ビールを蒸留して飲んでいるのがウィスキー。アメリカ大陸に移民した人の中に、トウモロコシを原料にウィスキーをつくった人がいた。これも独自性の発揮で、製品はバーボンである。アメリカ人は美味しいウィスキーが飲めないので、別の工夫もしている。製氷機の開発を機に、いろいろなお酒を混ぜて冷やして飲む。これをカクテルと日本語でいう。ホントは(?)「cocktail」=「雄鶏の尾」という意味で、いろいろな色が混じっていて美しい、ということからきている。
 我らが日本酒のためのスペースが無くなった。次回に譲ることにしよう。秋の夜は長い。