緑が映える季節

2018.05.10

 5月になり、木々の緑がとても美しくなってきた。一口に緑といっても実に様々なバライエティがあるのは皆さんご覧の通り。新緑の美しさについては、2011年6月12日に「植物は緑か青か」と題して、また2015年5月15日「緑の散歩道」というタイトルで書かせて頂いたが、春が訪れるとまた書きたくなる。
 専門家の間ではとっくに説明がついていることと思うが、見るたびに「不思議だなぁ」と思うことがある。桜とアカメモチだ。桜は皆さんご存知のように、少なくとも多くの種類で花が咲き、散ってから葉が出る。どうして順番がこうなのだろう?花咲か爺さんから引用するまでもなく「枯れ木たちまち花が咲く」という印象である。枯れ木同然の枝から蕾が出て、これらが開くまで、大きさも形態も絶大な変化である。この変化のためには大きなエネルギーが必要であろう。そのエネルギーが一見枯れ枝にしか見えない中に秘められているのは神秘的だ。
 植物が成長に必要なエネルギーは太陽光線から供給され、それを受け取るためにはどうしても緑の葉が必要である。花を咲かせることは一般論で言えば実をつけるためであり、即ち命を次の世代へ引き継ぐことである。ソメイヨシノは種からは育たないことと「花が先」が関連するのか、または葉をつけてエネルギーをたっぷり蓄えてから花を咲かせようとして、毛虫に全部食べられては大変だと感じて花を先につけるように進化したのか?(いかに何でもそれはなさそう)
 春から夏にかけては大気中の炭酸ガス濃度は減少する(グラフ参照)。炭酸ガスは水(海水、湖水、川等)にも溶ける。言い方を変えると水と大気の間を行ったり来たりしている。気体が水へ溶ける量は、温度が上昇すると減少する。炭酸ガスも例外ではなく(表参照)、水温が上がる春から夏にかけては水から大気へ移動する傾向となる。それにも関わらず、大気中の炭酸ガス濃度が下がるのは、植物の炭酸同化作用が盛んになるためと考えられる。炭酸同化作用を行うのは緑の葉である。そう、葉緑素が必須なので緑でなければならないのである。それなのに、アカメモチの新しい葉は何故「アカメ」と呼ばれるほど赤くなければならないのであろうか?もちろん赤くなる原因物質がより多く含まれ、葉緑素もちゃんと持っているのであろうが、それにしても進化のベクトルがどうしてこの方向へ向かったのか、不思議でならない。

 

炭酸ガスの大気圧下での飽和溶解度(最大限溶けた場合の数値)

温度(°C) 0 10 20 24 25 26 27
溶解度(mg/リットル) 1.19 0.83 0.61 0.54 0.53 0.51 0.50

 

大気中の炭酸ガス濃度(ppm=100万分の1)

(気象庁ホームページから引用)

※産業革命以前(人類が石炭・石油を使う前)の値は270 ppm 程度であった