化学の日

2017.10.23

 10月23日は、あまり知られていないかもしれないが、「化学の日」である。それに因んで、今日は化学のお話をさせて頂く。
 何故10月23日?化学物質同士が相互作用して、他の物質に変化することを化学反応が起こるという。化学反応はフラスコの中で起こるとは限らない。春に田植えして秋にお米ができるのも、葉が赤く色づくのも、毛虫が蝶々に変化するのも複雑な化学反応の結果である。
 これらの化学変化が起こるとき、ある特定の分子同士が反応する場合、反応にあずかる分子数の比は一定の簡単な整数比で表される。例えば下記の反応は家庭のガスコンロの炎の中で起きている化学反応であるが、(1)は天然ガスを使っているとき、(2)はプロパンを燃料とした場合である。ガスと酸素分子の比はそれぞれ1:2, 1:5 という簡単な整数比で表される。

 

 反応する分子数の比が決まっていることから、化学物質の量を表す単位は、重さではなく「数」であることが望ましい。また1分子の重さは極めて小さいので、ある数をまとめて単位とすると、重さが日常的に馴染みやすい数量となる。このようなことから化学物質の量を表す単位として世界共通に「モル」という単位が使われ、1モルに含まれる分子の数は分子の種類に依らず約6 x 10²³である。反応(1)は「メタン1分子と酸素2分子が反応する」と言っても良いが、一般的には「メタン1モルと酸素2モルが反応する」と表現する。この10²³から10月23日が化学の日とされた。水1モルの重さは18グラムで、これは水分子6 x 10²³個分の重さである。1億で10⁸であるから、10²³個 = 1億 x 1億 x 1千万個である。
 化学物質は化学式としては同じでも、結合の仕方によってまるで違う形状となったり、性質となったりする。例えば煤は炭素であり、良質の石炭もほぼ純粋な炭素である。驚くべきことにダイヤモンドも純粋な炭素である。さらに言えば、機能性物質の代表的な一つのカーボンナノチューブも純粋な炭素である。これらは炭素の繋がり方が違うだけである。ポリエチレンテレフタレートという長ったらしい名前の化合物は、成形の仕方によってまるで違うものになる。ポリエステル繊維もペットボトルも化学物質としては、ポリエチレンテレフタレートという同じものである。
 「化学物質は悪者」と決めつけている人もおられるが、私達の体は様々な化学物質から成り立っている。お米も魚も野菜も化学物質である。自然の力でできたものは良いが、人工物はダメという感覚もなかなか強固に見える。しかし、フグ毒もキノコの毒も天然品であり、抗生物質・血圧降下剤等は天然品そのものではなく、多かれ少なかれ工場で手を加えた人工的化学物質である。
 私達を取り巻くものは全て化学物質であり、私達自身も化学物質でできている。その膨大な化学物質が、最小単位まで辿ると陽子、中性子、電子というたった3種類の粒子からできているのだから驚きの他ない!