菜の花

2017.04.25

 菜の花は春の訪れを感じさせる花の一つである。部屋のカレンダーの3月の写真は一面の菜の花畑で、宮崎県西都原とある。残念ながら行ったことはない。以前、鹿児島県指宿で行われる菜の花マラソンに参加した時は、コースの道沿いに1月初旬にもかかわらず菜の花が咲いていて驚いたが(2015年1月30日)、これだけ早いのは例外であろう。長崎県では3月半ば過ぎと言って良さそうだ。
 菜の花は、菜種油を採るだけでなく、食用にも供される。これがお店に並ぶ期間は極めて短く、季節感に満ちた食材である。同じ時期にフキノトウ、タラの芽等が出るが、これら2種は「天ぷら、揚げ物に」と書いてあるので、単身赴任者の夕食には些か厄介だ。食べるとすればお店でということになるが、菜の花は茹でるだけなので、見つけたら必ず買う。「茹でるだけ」と言っても言う程簡単ではない。時間が長過ぎるとグチャグチャになって美味しくない。沸騰したお湯に菜の花を茎の方から(当たり前だけど、これが大事)入れたら、もう他のことはせず、菜の花に集中する。一旦温度が下がった湯が再び沸騰し始めたら一瞬の間で水切りかごに入れ、予め用意しておいた(これも肝心)冷水を満たしたボールに素早くつける。「一瞬の間」が微妙で難しい。続いて「長崎県でこんなに勢いよく水を流しても良いのか?」と罪悪感を感じるくらいに水道水で冷やす。せっかく「一瞬の間」でお湯から出したのだから、出来るだけ早く冷やさなければならないのは当然だ。ギュッと握って水分を切り、食べやすい大きさに切って、辛子醤油をチョット付ければ美味しく食べられる。辛子の量も「チョット付ける」も大切である。ここら辺りが和食の命と言える(オーバーか?)。こういう季節感溢れる野菜は「貴重」と言えるくらい珍しくなっている。季節に関係なく食べられるのは「便利」とも言えるかもしれないが、それ程便利でなくても良いから人の感性が衰えていかない方が望ましいのではないかと思う。
 菜の花に関連してもう一つ。この欄で「菜の花や月は東に日は西に」という蕪村の有名な句を紹介し、こういうシーンに登場する月は満月であると、書いたことがある(2011年9月12日)。ところが今年1月に「月は西に日は東に」という場面に出くわした。「菜の花や」に当たる部分に何を入れてもこのままでは俳句にならない。無理やりひねり出すと「朝冷えの 月は西空 日は東」くらいか。私の安物カメラでもこの月を撮影できた。
 それから3ヵ月あまり、近くに様々な花が咲き、キャンパスにも元気な新入生で賑わい、今や春爛漫である。

朝冷えの 月は西空 日は東  

   

左:本学シーボルト校のユキヤナギ, 右端のものはほのかにピンクで珍しい