駅馬車

2016.8.25

 高校の時の英文法の先生はお世辞にも良い先生とは言えなかった。進み方が他の先生と比べて極端に遅い。しかし、期末試験の範囲は各クラス共通であるから、試験前に残っているところを一気呵成に終わらせる。先生に頼らず、自分で日頃からやらなければならないと教えてくれた先生とみれば、最高とも言える!
 その先生に教わったことで、今でも鮮明に思い出すことがある。「I shall die」と「You shall die」の意味の違い。死ぬときは自分の意志ではないので「I shall die」は分かりやすい。ところが、「You shall die」は「貴方は死ぬ」ではなく、直訳すれば「私は貴方が死ぬようにしてやる」で、要するに「殺すぞ」となる。先生が教えてくれた例文は「Don’t move an inch, or you shall die.」であった。このセリフに映画館で出会ったときは「ホントだ!」という感じであった。字幕には「???」(答えは文末)とあった。もちろん映画はハリウッド製西部劇。

 西部劇にNative American が登場する場合は、ほとんどの場合悪役になる事は問題であるが、そこに目をつぶるとガンさばきのカッコ良さ、背景となる景色、音楽等が魅力である。中でも景色はさすがアメリカという規模の大きさがあり、1度はこの目で見たいと思わせる。この5月に夢が叶いモニュメントバレーを見てきた。グランドキャニオンとセットになったツアーで、3日間で1500キロくらいをバスで移動する強行軍。途中、アメリカで最も有名な国道=Route 66(シカゴからロスアンジェルスまでのアメリカ横断道路、 「Get your kicks on Route 66」という歌でも有名=ナットキングコールのヒット曲)を走るおまけもある。疲れはしたが、圧倒的な大きさの景色に度肝を抜かれる思いの感動であった。歓楽の不夜城ラスベガスが起点になるので、その対比もまた世界最大級の落差である。モニュメントバレーでは、ジョン・フォードの名作「駅馬車」の1シーンの中に自分がいるような錯覚を楽しむことができた。旅の楽しみの一つは「非日常性を味わう」ことであるが、他にこれくらい非日常性に富んだ場所は多くないだろう。

ラスベガスの夜 Route 66

グランドキャニオン ロッキーが源のコロラド河の渓谷 乾燥した草原の真っすぐな道 トンネルもカーブもない

夕暮れ時と夜明けのモニュメントバレー

 
答え:「動くな、撃つぞ」