梅雨の季節

2016.7.25

 この稿が出る頃は、全国どこでも暑い本格的夏になっているだろう。その前に北海道以外では梅雨の季節を過ごさなければならない。「梅雨」は本来「黴雨」という漢字が正しいらしい。「黴」は黴(バイ)菌の「黴」である。確かにこの季節は微生物にとっては“快適な”温度と湿気の季節で、そこら中に生え易いので的確な字ではあるが、人にとっては字まで不快感が増すような漢字は使いたくないということで、「梅雨」が使われる。梅の花は、「梅一輪、一輪程の温かさ」(服部嵐雪)と詠まれるように、まだまだ寒い時期の花である。しかし、「梅雨」の頃には大きな梅の実が店頭に並ぶので、「梅の季節」と言えなくもない。
 「果実酒」にワインを含めずに考えると、梅酒が最も人気が高いのではなかろうか。私も毎年作ることにしている。ポチッと付いている梅の実の「ヘタ」(とは言わないのかもしれないが)を取るのが厄介なくらいで、後は梅の実と氷砂糖を適当に瓶に入れて焼酎を注ぐだけなので、作り方は極めて簡単である。氷砂糖が溶けるまでは時々ゆっくり混ぜてやり、1年,2年待つ。適当なビンに入れ替えて、次の仕込みをするサイクルを繰り返すと毎年自家製梅酒を楽しむことができることになる。
 今年はスーパーマーケットで梅を買う時に、梅酒用焼酎の側にブランデーもおいてあることに気がついてしまった。こちらもしゃれたビンに入っている高級品ではもちろんなく、紙パックの安いものである。「ウーン、お店の作戦にまんまとはまるか」と思いつつ、「もし、焼酎ベースより美味しいとしたら、それを知らずにいるのは如何なものか」と屁理屈をつけ、トライすることにした。まだ味見の時ではないが、1ヶ月すると焼酎ベースのものとは外観が違ってくる。文末に①焼酎1ヶ月②ブランデー1ヶ月③焼酎1年の3種類の写真を載せた。どれがどれにあたるか、お分かりになるだろうか?
 梅雨の季節は外に出ると緑が美しい。
 木々の緑も奇麗であるが、田植えが済んだ田圃の浅い緑も美しい。近くはまだまだ、水面が見えてキラキラ光っている。遠方の田に目を移すと一面の緑に見えて、その対照が見事である。稲が成長すれば遠近に関わらず緑あるいは黄金色一色となる。
 もう一つ今度は大学のオフィス。
 廊下等私の部屋も含めて、この季節には「想像を絶する」珍客を迎える。大学といっても、本学佐世保校だけの話しである。珍客とは、カニである。写真を見ても、何故カニがタイトルと関係あるのかと不思議に思われた方も少なくないだろうが、この写真は私の部屋で撮影したものである。近くの川から侵入するものと思われるが、上手く脱出できないと気の毒なことに餓死してしまう。つまんで外へ放り投げてやりたいが、案外逃げ足が速く、なかなか掴めない。せっかくの善意が通じないのが残念である。

 
梅酒は左から順に、焼酎1ヶ月、ブランデー1ヶ月、焼酎1年である。
1ヶ月すると焼酎では梅が沈み、ブランデーでは浮いたままである。何故?
1年すると梅酒(焼酎)の色は変化する