人工知能

2016.06.25

ある全国紙の紙面でその新聞社が主催する「ジュニア選手権大会」の選手一覧を見た。全国の都道府県の予選を勝ち抜いた選手が紹介されている。「ジュニア」とは、ここでは小学生と中学生をさすようで、出場選手には中学生が多いが、最年少は小学校2年生である。男子が多いが女子も混じっている。
 さて、皆さんは、男女を問わず、小学校2年生が中学3年生と対等に戦える選手権とは何か当てることができますか?スポーツでないことは自明だ。知識の量がものを言うクイズの類いなら男女差はないだろうが、小学生が中学生と渡り合えるとは想像し難い。では、トランプやゲームみたいなものか?これは全国大会にはいささか馴染まない感じがする。という訳で、正解は囲碁選手権大会である。

 スポーツなら自分ではやれなくても、見ているだけで楽しいものはいくつもある。駅伝やマラソン等、ただ走っているのを観て何が面白いかと思いつつ、一旦テレビの前に座ると中々途中でやめられなくなる。しかし、ゲームの中でも囲碁はやらない人が見るともう何をやっているのか全くわからないであろう。将棋の場合はともかく王将というターゲットがあるが、囲碁は、交互に黒石と白石を縦横19本の直線の交点に置いていくだけである。しかも一見脈絡のなさそうな場所へ置く。自分でやるようにならないとプロの手合いを観て面白いとは感じない。但し、余程うまくならないとプロの一着一着が何を狙っているのかは理解できないので、解説者は必須である。

 囲碁の勝敗はどれだけ大きな陣地を囲うことができたか、その差で決まる。その強さの要素は、序盤では「構想力」。即ちあまり盤上に石がないときに、どんな風に陣地を囲うか自分なりに設計図を描いてみる力である。次に、どこに石を置いたら最も効率が良いかを判断する力。互いの石が接触している箇所とまだ空いている箇所がある場合の大小の判断は別のものを比較することになるので大変難しい。石が互いに接触している場面で競り合うときは、いろいろな場合を想定してその先を予想する力即ち「ヨミ」の深さである。そして最後は仕上げ(ヨセ)の緻密さであろうか。

 今年のはじめに人工知能(AI=Artificial Intelligence)が世界最強の棋士に3連勝を含めて4勝1敗であったことが話題になった。チェスや将棋ではコンピュータの方が強くなっていたが「囲碁はまだまだ人の方が強い」と思われていたので、相当のインパクトがあった。「ヨミ」とは異なるヒトの「感性」や「好み」にも左右される「構想力」のあたりを、コンピュータは苦手にしていたのではないかと想像できる。しかし、持っているデータを総動員してもどうにもならない領域までコンピュータが踏み込んできて、自ら考え判断する力を持つに至ったということで、チョット気味が悪い感じもする。

 囲碁でも人工知能が人を負かすようになったことと、小学生が中学生と対等に渡り合えることがどう関係するかが興味深く、何かもっともらしいことが言えるのではと思ったが、どうしてもこれができない。皆さんはどうお考えになりますかという問いかけで結ばせて頂く。