数学の意外性・美しさ

2016.1.10

 新年あけましておめでとうございます。お屠蘇気分をシャキッとさせるため、頭の体操から始めましょう。

 昔はお正月に1歳年をとる数え方をしたことにこじつけて誕生日をテーマにした確率の問題。この話しは有名なのでご存知の方も多いことと思う。「ある数の人が集まったとき、その中に誕生日が同じ人がいる確率はどのくらいか」、というもの。自分と同じ誕生日の人がいる確率、ではない。ある人が365日のうちどの日に生まれるかは全て同じことを前提にする(注)。また考え方を簡単にするため、2月29日生まれの人は母集団から外して計算する(閏年の年頭にこの仮定は甚だ不適切ではあるが、ここまで含めた確率の計算は私の手には負えないので、ゴメンナサイ)。

注:この前提で構わないことは専門的論文にもなっている [A. G. Munford, A Note on the Uniformity Assumption in the Birthday Problem, The American Statistician, vol 31 (1977); T. S. Nunnikhoven, A Birthday Problem Solution for Nonuniform Birth Frequencies, The American Statistician, vol 46 (1992).] 情報は慶應義塾大学名誉教授前島信氏から頂いた。

 計算法は、全部の人について誰とも誕生日が違う確率を計算し、その数値を1から差し引くというやり方である。BがAと違う誕生日である確率は、 (365 – 1)/365である。(365 – 1)はAの誕生日を除いた日の総計である。次にCがAおよびBと違う誕生日である確率は、 (365 – 2)/365である。3人とも違う確率はこの値にAとBも違う確率を掛け合わせれば良い。即ち、(365 – 1)/365 × (365 – 2)/365である。この数は3人の誕生日が互いに違う確率であるから、これを1から引けば、A, B, Cの少なくとも2人は誕生日が同じである確率となる。こうして人数が増えていくと違う誕生日である確率の分子は次第に小さくなり、分母は365で一定だ。したがって掛け算した値は当然小さくなる。逆にそれを1から差し引いた値は次第に1に近づき、その集団の中に同じ誕生日の人がいる確率は増す。3人なら同じ誕生日の人がいる確率は0.82%、4人に増えると一挙倍増で1.6%となる。別の表現をすると、4人の集団を1000グループ用意すると、確率としては、そのうち16グループには同じ誕生日の人がいるだろうということだ。こうして5人、6人と母集団の人数を増やしていくと、23人となったとき、少なくとも誰か2人が同じ誕生日である確率は50%を超える!23人とは、「まさか」というくらい小さい印象だ。30人で70%超となり、41人でなんと90%を超える!

 次はフィボナッチ(Fibonacci)数列で、以下のようなものである。

0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, 233, 377, 610, 987, 1597, 2584, , , ,

ここに示した数はでたらめに書いたのではなく、ある規則にしたがって書いたものである。良く見るとその規則性に気がつくのではないか。種明かしは、最初は0, 1と定めるが、その後は前2項の和を並べたものである。0 + 1 = 1, 1 + 1 = 2, 1 + 2 = 3, 2 + 3 = 5, ・・・・987 + 1597 = 2584という具合だ。これだけなら「フンフン、そんなのすぐ気がつくよ、それでどうしたの?」ということになるが、次に隣り合う数字の二乗同士を足し算すると、不思議なことにその答えは必ずこの数列の中に存在する!
 1² +1² = 2, 1² +2² = 5, 2² +3² = 13, 3² +5² = 34, 5² +8² = 89, 8² +13² = 233という具合。しかもその答えは、二乗を足し算する数字の大きい方から数えて1番目、2番目、3番目、4番目と規則的に遠ざかって行く。それでも「それがどうしたの?」派もおられるかもしれないが、こうして見ると数学は難しいだけでなく、何となく不思議な美しさや魅力があるものだと、私は感じる。
 1辺が1の正方形を2個描く(図の左上)ことから出発して次々と正方形を隣接させて描くと、その辺の長さが上で述べた数列と一致する。これこそ当然のことではあるが、数列が図形で表現できることも数学ならではの美しさと言える。

最後にクイズ:「先ず2段登って1段降りる」というルールで階段を上る。上り下りとも1段1歩と数えると10段目に到達するまでに何歩歩くことになるでしょうか?(有田八州穂著「大人のほうがてこずる算数」、すばる舎掲載の問題をアレンジ) 答えは次回