大空への夢

2015.12.15

11月11日で私は73歳になった。1が4個繋がるので、様々なものに見立てられ、「○○の日」というのが大変多い。「ポッキーの日」、「箸の日」あたりはすぐイメージできる。「麺の日」、「もやしの日」、「きりたんぽの日」もこの類いだ。「焼き鳥の日」とは言わないのだろうか?「下駄の日」は若い人には難しいかも知れない。地面を雪がある日に下駄で歩くと「11」型の足跡がつく。
 では「電池の日」はどうか?若干イメージを膨らます想像力が必要だ。11月11日を「十一十一」と書けば、「プラスマイナス」になるので、これ以上説明は不要であろう。関連して配線器具の日とも言うらしい。「サッカーの日」でもある。サッカーが11人:11人で競うスポーツだからだ。

 歴史的には「コンピエーヌの森の和約の日」=第1次大戦休戦協定締結の日である。フランスに対しドイツが敗戦を認めた日で、1918年の11月11日。1940年には、逆にヒトラーが故意にこの地を選んで、フランスとの休戦協定を結んでいる。この時は、第1次大戦とは逆にフランス側がナチスに屈服したことになる。

 今年の11月11日は日本にとって新たな歴史的な日になった。初めての国産ジェット機MRJがついに大空へ飛び立った。部品の7割は外国製であるようだが、日本で設計され、日本で組み立てられた初のジェット機である。戦後7年間GHQによって航空機開発の研究が禁止されている間に欧米ではジェット機開発の研究が急速に進み、残念ながら日本は欧米の航空機会社の下請け・部品メーカーに甘んじて来た。リージョナルジェット機とはいえついに世界のトップをキャッチアップすることができた。テストパイロットは「飛行機が飛びたいと言っている感じ」と表現している。私の感覚では、空を飛ぶということは、海や陸の交通手段の開発より何か夢を抱かせる。商用機として使われるためには、まだまだデータ取得が必要らしいが、早く世界の空を駆け巡ってもらいたいものである。

 大空というべきか、それを遥かに超えて宇宙という方が適切だろう。「はやぶさ2」が2014年12月3日に種子島から打ち上げられて1年になる。ホームページを開くと、宇宙へ出発してからの時間が秒単位示されている。目標としている小惑星1999JU3の名称が「Ryugu」という名前になったとある。宇宙の彼方にあるのでは、亀の背中に乗って行くのは難しそうだ。はやぶさ2に期待されるお土産は、玉手箱ならぬ生命誕生の謎を解く鍵である。2020年のオリンピックの後までまだまだ夢を乗せての飛行が続く。

 人が自分の足で行ける最も高い所はエベレスト(チョモランマ)の頂きで、三角測量法によって8848 mとされてきたが、最近のGPSによる測定では8850 m であると発表されているようだ。8000 m以上の標高は「デスゾーン=death zone」と呼ばれ、長く(1~2日)留まることは死に直結する。酸素ボンベ無しで登頂に成功している登山家は稀である。1953年にニュージーランドのエドモンド・ヒラリーとシェルパのテンジン・ノルゲイが初登頂を果たしたが、「もしかしたらジョージ・マロリーかも」という謎は今でも消えてはいないらしい。このエベレストで1996年5月に起きた多勢の遭難を扱った映画が佐世保でも11月に公開された。この遭難死の実態を知りたいというわけではなく、3Dでエベレストを舞台にした映画ということで久しぶりに映画館に足を運んだ。3Dの迫力はさすがで、臨場感満点であったが、もちろん行ってみたいとは思わない。登れる筈もないが、高い山は眺めているのが一番だ。11月11日からとんでもない所へ来てしまったが、大空に夢を馳せてまた来年お会いしましょう。