させぼ夢大学、めでたく留年

2014.4.25

昨年7月10日のこの欄で「佐世保にいるからできること」というタイトルで、させぼ夢大学入学のことを書かせて頂いた。昨年度10回の講義のうち、7回出席することができた。3回はサボったのではなく、本業の都合で行くことが叶わなかったのである。「社会人学生」の悲しいところだ。さらに4月から1年受講させて頂くべく申し込みをし、幸いなことに1.5倍という難関を突破することができた。1.5倍という倍率は一般的な大学なら高いとは言えないが、市民大学としては、群を抜く難しさである。今年は受講の折りに申請書を持参した。担当の方の前で、「チチンプイプイ、アジャラのスイスイ、ほらサッサー」というおまじないを唱えるわけにも行かないので、省略せざるを得なかったが、良い結果が得られたのは幸いである。昨年かけたおまじないの賞味期限が1年以上あったということか。

勤務している大学の業務時間が終わってから出かけても、させぼ夢大学の開講時間には悠々セーフであるが、1, 2階の席は既に満員である。教室の後ろに座りたがる大学生には見せたいところだ。私の指定席はいつも3階の奥で、遥か遠くの壇上に講師がいることになるが、後ろのスクリ−ンに姿が映し出されるので、表情もよく分かる。

話の内容はさすがにどなたのも大変濃いものがあり、感心することばかりであった。中でも印象に残ったのは、二宮清純氏のオリンピックで金メダルをとった選手の努力の話と、最後の講師である落合恵子氏の「闘争宣言」であった。二宮氏の話した一人は水泳の選手。彼はレースに備えて手の爪を伸ばしたそうだ。何故だかお分かりだろうか?水泳のタイムは最後にプールの壁のタッチパネルに到達したところで時間が計測される。爪が伸びていればそれだけ早くタッチできると考えたからという。仮に100メートルを50秒で泳ぐとすると、1秒で2メートル進む。爪を2センチ伸ばすと、1/100秒速くなる計算になる。ソチオリンピックで1/100秒の桁まで同タイムで二人金メダルという例が出た。現実に2センチの爪でもメダルの色を分けるかもしれないのがオリンピックの世界ということか。少し頑張ったくらいで「私も努力した」等と軽々しく言ってはいけないと強く感じた。

行動する作家、落合氏のメッセージも強烈であった。2011年3.11への対応と母の介護の経験を基に「命の感受性」について語る重いテーマであったが、「私達の世代は、もう少し世の中を良くしてから次の世代へ渡します」という、彼女の「闘争継続宣言」と受け取れた。話の最後は、45年前のある大学の講堂に以下のような落書きがあったという結びであった。曰く、「力及ばずして倒れることを辞さないが、力尽くさずして退くことを拒否する」と。実はこの言葉の前には「連帯を求めて、孤立を恐れず」という文言がある。これは、何も学生運動家だけに通ずるものではなく、私が研究者としての一面を持っていたとき、常に心にしまっていた言葉であった。ホントに久しぶりに聴いて、今の自分にも当てはまると気持ちを新たにした。大学に進学した新入生諸君にも、この努力と気概を持って欲しい。

させぼ夢大学のもう一つの楽しみは、講演の前の理事長さんの話である。実に軽妙洒脱、滑らかな話し振りで、その時々のトピックを語られる。天候が荒れると、講師の方が佐世保まで来ることができるかどうか身の痩せる思いがする、と度々おっしゃるが、外見から判断すると仮に痩せても、回復は極めて早いようだ。

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