華僑大学訪問

2013.11.05

 本学は、中国の福建省厦門(アモイ)にある華僑大学(キャンパス:泉州市、厦門(アモイ)市)と連携協定を結んでいる。共同研究や留学生の交換が主な内容であり、5年ごとに更新する。交互に学長が相手校を訪問し、更新した協定書にサインすることになっている。その際に、協定の内容等に関しても意見を交換し、内容をより濃くする努力をしている。また、訪問した学長が相手校で講演をすることが慣例になっている。昨年、本学が訪問すべき年であったのだが、日中間の領土問題のこじれで実現せず、1年遅れで今年の10月初旬に華僑大学の厦門(アモイ)キャンパス へ行ってきた。この訪問で、図らずも2つのことを初めて経験することになった。

 先ず1つ目は、悩ましい夜の体験。艶っぽい体験と誤解しないで欲しい。悩みの中身は、「私は一体どこの国にいるのでしょう?」というものである。日程が組みやすいという理由で、福岡発韓国仁川(インチョン)経由でアモイへ飛んだ。夕方福岡を出て、仁川で一泊。翌朝アモイへ向かう日程であった。仁川は、「アジアのハブ空港」と自負するだけあって、大きな飛行場である。飛行機を降りると沢山の免税店が並んでいる。他の空港と違うのは、乗り換え客専用のホテルが、この免税店街の上の階にあることだ。そのホテルへ入るためには、韓国への入国手続きは不要である。こうなると、余計なことではあるが、考えてみると悩ましい。福岡で日本からの出国手続きは済ませている。韓国へ入国はしていない。手続き上は、一体私はどの国で寝ているのだろう?ということになる。もちろん普段でも飛行機の中ではこの状態であるから、その意味でなんでもないことであるが、ホテルのベッドの上であると、ついどこの国にいるのだろうと、余計なことを考えてしまう。

 2つ目は、華僑大学での講演に関することだ。これまでにも外国で講演したことは少なくない。私が参加した国際会議では全て「Official language is English」で、全て英語で書いたスライドを使い、英語で話す。わざと1枚目には日本語で書いたものを入れておき、慌てた振りをし、2枚目から用意した英語のスライドで話し始めるという小細工を労したこともあるが、ともかく英語である。ところが今回は、スライドは中国語でつくり、日本語で話して、適当に区切って中国語の通訳を付けるという何とも悩ましい講演になった。私は残念ながら中国語を理解できない。したがって、日本語で書いたスライドを中国人の事務職員に頼んで、中国語につくり直してもらった。通訳も彼女である。聴衆のためには、彼女が中国語で話しているとき、スライドをポインターで指してあげたいのだが、話が分からないので、これはできない。適当な見当 でやって間違えると、かえって混乱する。もちろん事前に原稿をつくり、綿密に打ち合わせをし、予行演習もして、丁寧に準備したのであるが、なんとも悩ましい初体験であった。講演の後、華僑大学の学生諸君からいくつか熱心な質問を頂いたことで、話の内容は理解してもらえたと安堵の胸を撫で下ろした次第である。
 ちなみに講演のタイトルは「今我々はどこにいるか」というものであったが、これは、けっして、仁川空港のトランジットホテルで思いついたものではない。 

華僑大学正門 講演のタイトルスライド
華僑大学正門   講演のタイトルスライド