佐世保の渋滞

2013.10.25

 以前に佐世保市やハウステンボスの花のことを書いたことがある(2013年5/25, 7/25)。今回は花ならぬ花火についてである。日本語の「花火」という名前は、ホントに実態のイメージそのものの良い言葉である。夜空に大輪の花を咲かせるのも、子供が手に持ってパチパチと楽しむ小さいものも、まさに「火の花」である。この2つの漢字をそのままつなぐと「火花」となる。これは似てはいても花火とは別物だ。「花火」の順でなければならない。日本語はなかなか難しい。そういえば、日本と本日もまるで違う。

 花火を英語でいうとfireworkである。何故「work」などという語を使うのだろうか?私の誤解であろうが、「work」と来られたのでは、見る人の視点がまるで入ってない。fireworkと言われたのでは、ワクワクとした気分で見に行く気にもなれない。ついでに、workについて、一言。なかなか「佐世保の渋滞」にならないが、渋滞なのだから進まなくても致し方ない。
 かつて、英語のリスニングの練習のために聴いたテープに、日本と欧米の考え方の違いを述べたものがあった。その人によると、「work」と「仕事」は、そこに込められる気持ちは、全く違うのだそうだ。前者は金銭的報酬を得るためにイヤイヤながらやることであり、仕事は「仕える事」である。「仕える」態度を基本にすることであるという。典型的な例として、日本のデパート等での包装のやり方を挙げていた。どうせ破いて捨てる包装紙をあれほど丁寧に奇麗に整えることはアメリカでは考えられないことであり、あれこそ「仕事」の精神だと言うわけである。

 さて、ハウステンボスの花火に戻ろう。初秋という感じになってきた9月のおわりに、「九州一花火大会」があった。翌日も休日であったので、見に行くかと気軽に出かけた。ところが、これが凄い人出。佐世保に住んで4年半、初めて見る人の数であった。花火は確かに豪華で、大変美しく、出かけてきたかいはあったというのが素直な印象である。

 しかし、休憩時間中のアナウンスは、「これは、ただ事ではない!」と思わせるに十分なものであった。曰く、「駐車場から出るまで2, 3時間かかるかもしれません。渋滞緩和にご協力できる方は、園内でお過ごし下さい。レストランも本日は12時まで営業しております」。あるいは、「電車の指定席券をお持ちの方は、30分くらいは余裕をもって行動して下さい」。感情を抑え、抑揚なく淡々と、しかし確信を持ってクールに語りかけるその無機質な言葉には、大声でのアナウンスでは持ち得ない、絶対的な説得力がある。

 これは、最後まで見てゆっくり出たのでは一大事と考え、終了直前のフィナーレの豪華さに後ろ髪引かれる思いで会場を後にしたが、駅までは途中から延々長蛇の列であった。それでも佐世保行き電車はいつも通り2両編成。20〜30分しないと、次の列車が来ない。この落ち着きぶりは、どこから来るのか。予定の列車どころか、1時間以上も駅の外で並んで、やっとの思いで乗ることができた。列車は混んではいるが、東京の通勤ラッシュ時よりは楽である。ホームを離れる列車の窓から外を見ると、人の列は私が並んだときより長くなっている。「フーン、そうか」と、何が「そうか」は自分でも分からぬまま、何とはなしに感心しながら、佐世保駅に着いた。佐世保での初めての体験であった。
 翌日の朝日新聞の1面に花火の写真もつけて、記事があった。主催者の発表で人出は4万人とか。2両編成の列車に改めて思いを馳せ、「フーン、そうか」と再び感じたのであった。
 

佐世保の渋滞 花火1 佐世保の渋滞 花火2