侵入者、その2

2013.09.25

 それからしばらく膠着状態。朝、そーっと戸を開けて、「ウン、いるいる」と確かめる。来る日も来る日も「そー、いるいる」の繰り返し。一体何日かかるのだろうか?卵の中で雛は成長しているのだろうか?何日か温めて雛がかえらなかったら、諦めるということはあるのだろうか?他人事、イヤ鳩ごとながら、気になる。しかし、私が心配しても全くどうにもならないので、すぐ「気にしてもしょうがない」と思い直す。

 2週間くらい経った頃、文部科学省へ行かなければならない用ができ、2、3日家を空けることになった。鳩さんにも、しばらく留守にするから、朝も落ち着いておれるぞ、と挨拶して出かけた。「そー、いるいる」のお休みである。

 2個目の卵を見てから20日後、おめでとう!2羽の雛の誕生だ。うぶ毛の色は、親鳥の灰色とは違い、黄褐色である(写真1)。動くことはできず、巣の中でじっとしている。雛に気がついたときにはいなかった親鳥が間もなくして戻ってきた。雛は親鳥の胸の中に納まって居心地良さそうである(写真2)。

 雛の誕生後、親鳥は不在のことが多くなった。自分自身の体力回復と雛への食事探しに忙しいのであろう。ピーピーと鳴く雛の口の中に何やら入れてやっているように見えるが、網戸越しでは何だか定かではない。親鳥の口の中に沢山の餌が入るようにも見えないし、そう頻繁に食事を与えているようにも見えない。もしかしたら、一旦胃の中にいれ、半分消化したものが最高の「離乳食」か、とも想像してみるが、どうだろうか。ともかく、雛がピーピー騒がしい時は、親が戻ってきている時なので、その声だけ聞いて「ちゃんと、やっているな」と安心する。

 雛の成長はとても速い。10日から2週間もすると、羽の色も親鳥と同じようになってくる。それでも、いつ見てもじっとしている(写真3)。心臓を動かしているだけの「究極の省エネルギー作戦」で食べたものはひたすら体の成長に使っているという感じである。しかし、この頃になると、巣の周りは糞でかなり汚れている。口にしたものが全て栄養になるわけではないだろうから、これは仕方ないとして、ちゃんと巣から出るくらいは動けるらしい。雛が飛べるようになってから掃除するしかない。
 生まれてから3週間後、とうとうと言うべきか、早くもと言うべきか、ともかく立派に成長した雛は、今や人間で言えば若者となって巣を出た。後に残された糞害に憤慨する気にもなれず、やれやれ一段落で一安心。と思いきや、今度はベランダの反対側の隅にまたもや卵が2つある(写真4)。
マイッタナー、コリャ!

写真1 写真2
写真1 写真2

 

写真3 写真4
写真3 写真4