侵入者、その1

2013.09.10

 「バタバタバタッ」と、大きな鳥が飛び立った。7月初めのある朝、ベランダのガラス戸を開けたときのことである。「オー、ビックリした!」と思ったが、特に気にせず、しばらくしていつも通り出勤した。ガラス戸は開けてもレースのカーテンは閉めたままで、網戸もあるのでベランダにあるものがハッキリ見えるわけではない。翌朝戸を開けたら、また「バタバタバタッ」と鳥が飛び立った。鳩である。「また居たのかこいつ」と思いながら飛び立った辺りをよく見ると、何とベランダの隅に小枝を集めた巣があり、しかも卵が1つある!(写真1)

 ウーン、どうしたものか?不法侵入として、強制撤去するか。しかし、人間に対する法律が即座に鳩に摘用できるものでもあるまい。彼らが国会に代表を送っているわけでもないし。賃貸のマンションを又貸しすれば契約違反かもしれないが、鳩から家賃を取るわけはないから、問題なさそうだ。フン害はあるかもしれないが、新しい命と交換というわけにも行くまいと、結局静観することにした。

 翌朝から、戸を開けるときは、鳩を脅かさないようにそーっと静かに開ける。「ナンデ、こんなに気を使わなきゃいかんのかナ」と、疑問が湧かないわけでもないが、ともかく相手も神経質である。チョットでも音を出すと飛び立ち、しばらくして戻ってきても最大級の用心をしている(写真2:右下に巣が見える)。

 そこで、こんな時こそと考えて、パソコンをベランダ近くに持ってきて、「鳥類語翻訳ソフト」を使うことにした。現時点で日本語バージョンはないので、辞書を引きながら、英語で入力する。「Dear pigeon, I am your friend. I am not intending to hurt you. Please feel free to stay here as long as you want.=鳩さん、私は君を傷つけるつもりはないから、好きなだけご自由にいて下さい。」ここまで書いてリターンキーを押すと、コンピュータから「クックルークックルー・・・」と発信音が出た!という具合に行けば良いが、そんなことはできっこない。仕方なく、ひたすら脅かさないようにするのみである。その気持ちが通じたのか、何と4日後には、卵が2個になった!(写真3)

 母鳥はこっちが心配になるほど、じいーとしてひたすら卵を温めている。「しばらく放っといても平気だろうから、自分の食事をしてきたら」、と言いたい気分である。少しパン屑をベランダに出してみたが、減らない。危険と見たか、「施しは受けない」というプライドか、はたまた単に嫌いなのか?器に入れてやった水はときどき飲んでいる。

 

写真1 写真2 写真3
写真1 写真2 写真3