水−−この不思議な液体

2012.02.01

地球は「水の惑星」と言われる。生命は水中で誕生したし、水無しには生きて行けない。実は、この水という物質はとても変わった物質なのである。

厳冬期になると、ときどき早朝に霜柱をみる。こんな寒い朝、フーフー言いながら飲む熱いお茶が美味しい。「冬はつとめて」なんてどなたか仰っているが、熱いものがなくては始まらない。ところが、他でもないこの霜柱と熱いお茶は、水という物質の他と全く違う独特の性質を象徴するものである。固化すると体積が大きくなることと「異常に高い」沸点の2つだ。化学の世界で「非水溶液」という言葉ある。「水」と「それ以外全部」を二つのグループに分ける程、水は特別扱いなのだ。他にこの手の言葉は「非鉄金属」くらいか?

先ず沸点。沸点とは液体が(厳密には、表面以外からも)気体になる温度で、水の場合1気圧では100°Cである。では、100°Cとはどの程度高いのか? 沸点は、分子の構造が類似している物質ならば、分子1個の重さが大きいものほど高い。例えば、水と似たような重さで、CとHからできているメタンの沸点は-161°C、エタン(重さは水の1.7倍)のそれは-88°C。水の沸点がこの温度に近ければ、地上で水は液体として存在し得ない。当然今のような形での生物も存在し得ない。

沸騰とは、弱くではあるが互いに手をつないでいた分子同士がバラバラになる温度である。水の沸点が高いのは、水分子の間で互いに引きつけあう力が他の分子より異常に強いからである。

この引き合う力のおかげで、同じ重さなら、分子が整然と並んだ固体の氷の方が、液体の水より体積が大きくなる。このことは、他の物質とは逆である。したがって霜柱は膨張した体積の分、抵抗の少ない地表に延びてくる。

水以外の液体では、同じ体積なら温度が低いほど重い。ところが、水の場合だけは、4°Cで最も重くなる。湖の水温が、気温の低下に伴って下がっていっても、4°Cまで冷えると最も重いので、もはや水面が3°C、2°Cとなっても対流で水面には浮いていかない。故に空気と接している水面の温度が下がり続け、ついには水面から凍ることになる。表面が凍って熱の伝わり方の効率が悪くなると、日本の冷え方程度では、底の方まで凍ってしまうことはまずない。湖の魚は人間に釣り上げられない限り、冬を越せる。水は、環境としても、水中の生命にとって都合良くできた、特殊な液体である。