平成25年度入学式

第6回(平成25年度) 長崎県立大学入学式 学長訓辞

平成25年度入学式 学長訓辞 学長の写真

 本日、ここに長崎県立大学入学式を執り行うことができますことは、私の大きな喜びとする所でございます。新入生の皆さんに、心よりお喜び申し上げ歓迎致します。入学おめでとうございます。これまで学生諸君をはぐくみ育てて来られた、ご家族、保護者の方々のお慶びも大きなものがあることと思います。心からお祝い申し上げます。

 さて、先ずはじめに新入生の皆さん、皆さんはマララ・ユスフザイと言う名前をご存知でしょうか?パキスタンの15歳の少女の名前です。女性にも教育を受ける権利があると主張し、昨年10月タリバーンに銃撃され、頭を打ち抜かれて瀕死の重傷を負いました。イギリスで治療を受け奇跡的に回復し、そのままバーミンガムの女子校に編入して通学し始めたと2週間前の新聞で報道されました。登校に際してのコメントは「人生で一番幸せな瞬間。学校に戻るのは夢だった」、ということです。皆さんと同じ時期に新たなスタートを迎えたわけですから、命がけで学校に通うこの少女の言葉をかみしめて頂きたい。

 今、社会あるいは企業からの大学卒業生への期待は大きいものがあります。これを受けて、本学では次のような教育を重視しています。これらは、皆さんが卒業するときには備えておいて欲しい力に深く関係するものです。

 先ず、挙げられるのは、コミュニケーションの力です。コミュニケーションとは会話という言葉があてられますが、日常的なおしゃべりという意味ではありません。自分の考えをきちんとまとめて分かり易く発信することができて、同時に相手の考え方を聴いて、的確なコメントをすることができるということです。そのためには、テーマになる事柄について発信すべき知識、意見等を持つことが絶対的な前提です。しかし、意見や考え方を発信するだけではいけません。楽しい食事をするだけなら、会話が弾むだけで結構ですが、仕事となったときには、相手を説得することが必要です。これらの力は、一朝一夕で身に付けることはできませんし、授業を聴いているだけでも難しいでしょう。

 お互いの意見が合わないとき、いつまでも平行線の言い合いをしていたのでは、前へ進むことができません。したがって、次に必要な力は、互いの一致点を見いだして、ともかく一歩前へ踏み出す力で、これも極めて重要なことです。これまでの受験勉強は一人の力で前へ進むことが可能な事柄でしたが、社会へ出て物事に貢献しようとするとき、一人でできることは極めて少ないのです。他の人と協力して働くことが求められます。このような力を4年間で養わなければならないのです。

 今後の日本、特に本土の西の端に位置する長崎県の発展にとって、アジア諸国との関わりはますます重要になることは、間違いありません。皆さんにとっては、協力して行く仲間でもあり、ある場合にはライバルにもなるでしょう。このような人達とのコミュニケーションには、言葉の壁を超えなければなりません。一般的には英語がツールとなります。したがって、これからの時代、英語を使うことができるか否かによって、人生の広がりは大きく違ってくるでしょう。長崎県にとって歴史的、地理的に中国との交流は大変大事なので、本学では中国語も英語と同じ扱いにしています。このようなスキルを身に付けるよう是非努力して下さい。語学以外にも言えることですが、若いとき程効率良く身につくことは、私自身の経験に照らしても、間違いありません。

 皆さんは、早い時期から卒業後に出て行く社会や企業について学んでおく必要もあります。さあ、そろそろ就職活動だ、という時期になって慌てて必要なことを身につけようと考えても、それは無理です。働いて、その報酬を得るということは生半可にできることではありません。短時間で準備できることでもありません。受験勉強程単純でもありません。少しずつ力をつけて行くのです。

 あれも大事、これもやれ、と言って、大学は皆さんに何もしてあげないのかというと、もちろんそんなことはありません。専門的な知識はもちろん必要ですから、教室での講義や実習が主体にはなりますが、大学が提供するものはそれだけではありません。様々な形態のゼミでは、先生や仲間との議論があるでしょう。語学に関しても、本年度から新たなプログラムを実施します。「長崎を学ぶ」という、長崎県立大学としての特長を活かした教育課程やフィールドワークスタイルの「しま体験プログラム」も実践します。県内の他大学と協力して、留学生と共に学び、企業での実習で自らを鍛えるというプロジェクトも文部科学省の支援を受けて、本年度から本格的にスタートします。他にも、教育課程や授業内容の改善に向けて、できる取組を実行して行かなければならないと考えています。

 しかし、もう一度強調しておきますが、最終的に皆さんの積極性、意欲、向上心がプログラム全体に掛け算で効いてきます。足し算であるなら、ともかく単位を取得して、できるだけ苦労せずに卒業しようかと考えても、教育課程の効果はある程度あるかもしれません。しかし、掛け算で効くという意味は、皆さんの側の心構えがゼロであれば、どんなに立派なカリキュラムがあっても効果はゼロになってしまいます。

 では、どうしたら、積極的になることができるか、これが重要です。答えは、自分自身の今のあり方を肯定することです。皆さんの胸の中には期待と同時に不安もあると思います。先ずは入学を果たした自分を褒め、与えられた環境、状況の中で最善を尽くせば自ずと良い結果はついてくると、ポジティブに考えましょう。この気持ちをもつことで、間違いなく人生は良い方向へ進みます。これもまた、私の70年の人生から絶対の自信を持って皆さんに伝えることができることです。以上をもちまして、学長訓辞と致します。

 最後になりますが、本日は、ご多忙中に関わりもせず、ご臨席賜りました長崎県知事 中村法道様、長崎県議会議長 渡辺敏勝様、佐世保市長 朝長則男様、長与町長 吉田愼一様はじめ、多数のご来賓の方々に心より感謝申し上げます。

平成25年4月3日                       

長崎県立大学 学長 太田 博道